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地域環境保全領域: 先見的・先端的な基礎研究(令和 4年度)
Regional Environment Conservation Domain: Foresight and Advanced Basic Research

研究課題コード
2125AV007
開始/終了年度
2021~2025年
キーワード(日本語)
大気汚染,水環境管理,土壌環境保全
キーワード(英語)
Air pollution,Water environment management,Soil environment conservation

研究概要

都市からアジアまでの多様な空間スケールを対象として、大気・水・土壌等の環境の構成要素における物質の動態と影響の解明、基礎となる計測・分析手法の開発、負荷低減や環境修復・再生・保全技術の開発、地域環境の管理や将来計画のための評価手法開発等、地域環境の総合的な保全や課題解決のための調査・研究・技術開発を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

 先見的・先端的な基礎研究として、人や生物が生存し、社会を維持するために必要不可欠な基盤である「大気・水・土壌」という環境媒体における物質循環の理解、各媒体の保全、持続的な利活用に関する調査・研究を行う。物質循環については人為起源、及び、自然起源の物質が各媒体中で「どこから」「どこへ」「どのように」、そして「どのような物質に変化して」循環しているのかなど、物質の循環や動態の本質を理解・検証する調査・研究を行う。また、保全、持続的な利活用については、物質循環の理解に基づき発生源における負荷の低減手法、環境修復技術、及び、環境評価手法の開発等を行う。
 3年目を目途に、大気系ではPM2.5やオゾンなど大気汚染物質の環境基準達成のため、大気モデルの改良、排出インベントリの精緻化、大気化学反応の理解を図り、大気観測による動態把握を推進する。水環境系では、湖沼・河川・内湾の良好な環境を再生・創出するため、底層の貧酸素化の理解や生態系機能評価を行い、モデル等を駆使した水質・生態系の変動と要因解析や全層循環不全等の解析などを進める。土壌系では、土壌圏における物質循環機構の健全性の維持・保全、有害物質の動態解明及び土壌環境改善のための技術開発に関する調査研究を推進し、環境技術系では、国内外での水質保全実現のため、排水に起因する水質汚染に伴うリスクの評価、管理手法としての排水処理技術の開発と性能評価、水需要の評価等の研究を行う。最終年度に向けて、引き続きそれぞれの分野において研究を推進するとともに、地域特性などに応じた大気質・水質・土壌などの管理目標の検討、対策や実装に適した管理技術の検討を推進し、大気質・水質・土壌環境の改善、維持及び管理のための知見を提供する。

今年度の研究概要

大気系では、大気シミュレーション精度向上のため、衛星観測データ等によるデータ同化や統計的手法によるガイダンス的予測結果補正を用いた大気モデルの構築・改良に着手し、対策効果を考慮した排出インベントリの整備・改良を行う。大気動態解明のため、大気汚染生成機構解明に関するチャンバー実験、九州地区におけるPM2.5化学成分の大気観測、及び、PM2.5環境基準超過に対する黄砂の寄与度合評価を行う。また、オキシダント生成に関連する多相反応機構を解明するため、水素酸化物ラジカルの植物由来二次有機エアロゾルへ等への取込係数を測定するとともに、多相反応を導入した大気化学輸送モデルによる計算結果を過去の観測結果と比較する。
水系では、流域レベルの健全な水循環や湖沼の良好な水・底質環境を再生・創出するための新しい評価手法の構築を行う。また、データロガーによる高頻度モニタリングを霞ケ浦や琵琶湖を中心に展開し、UAVを用いた面的水質モニタリングの手法開発も進める。石川県・七尾湾や北海道・火散布沼などの閉鎖性海域を対象とした水環境のモニタリングシステム及び予測手法の開発を行う。
土壌系では、土壌圏における物質循環機構の健全性の維持・保全や汚染物質の負荷低減化に資する研究として、可給態元素の分布量把握を目的とした土壌からの無機元素の溶出試験、冬期における畑土壌からの硝酸溶脱量の測定法開発、林内および土壌中の有機物がインジウムの溶解特性に与える影響評価、ヒ素・アンチモン代謝細菌の特性評価・ゲノム解析を行う。
環境技術系では、国内外での水質保全のため、排水処理インフラにおける汚濁排出構造の解析と、省エネルギー型の排水処理技術の開発を行う。また、生活排水由来の病原菌性細菌の検出、定量化技術の開発を進め、各排水処理設備における窒素や病原菌性細菌の除去特性を明らかにする。プラスチックの水域排出と動態に関するモデルの開発を進める。さらに、乾燥・半乾燥地域における水・炭素循環に関する観測データを収集し、衛星データとの比較検証を行う。

課題代表者

高見 昭憲

  • 地域環境保全領域
  • 領域長
  • 博士(D.Phil)
  • 化学,化学工学
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担当者