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中赤外レーザー吸収分光計を用いた大気中硫化カルボニルの現場自動観測システムの開発(令和 4年度)
Development of in-situ measurement system of atmospheric carbonyl sulfide using a mid-infrared absorption spectrometer

研究課題コード
2224CD001
開始/終了年度
2022~2024年
キーワード(日本語)
硫化カルボニル,炭素循環,レーザー吸収分光法
キーワード(英語)
Carbonyl sulfide,Carbon cycle,laser absorption spectroscopy

研究概要

近年、大気中の硫化カルボニル(COS)が地球表層における炭素循環の精緻化に有効なトレーサーとして注目されている。しかしながら、大気中COSの高精度自動観測が困難であることから、COSの発生・消滅源および分布に関する観測研究報告例が限られており、現状のCOSを用いた解析は、未だ理解が不十分な発生・消滅源および分布の知見に基づいて実施せざるを得ない状態である。そこで本研究では軽量かつコンパクトで、高感度・高時間分解能を有する中赤外レーザー吸収分光計を用いた現場自動観測システムを開発することで、従来観測手法の問題点を解決し、COSの発生・消滅源の強度および分布についての新たな知見の取得を通じて炭素循環を精緻に理解するための研究へ貢献することを目的としている。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

本課題では1.中赤外レーザー吸収分光計(mid-IRLAS)の基礎測定能を把握することでCOS計測の高精度・高確度化を行い、2.現場観測のための安定性に優れる装置校正用標準ガスの確立を並行して行う。また、1.で計測能の高水準化をするmid-IRLASと2.で確立する装置校正用標準ガスを用いて現場自動観測システムを開発し、3.GCMSによるフラスコ観測と比較並行観測を実施することで、現場自動観測システムの評価を行う。以上、1から3までの課題を順に達成していくことでmid-IRLASを用いたCOSの現場自動観測システムを構築する。

今年度の研究概要

R4年度は中赤外レーザー吸収分光計(mid-IRLAS)によるCOS計測について装置の特性を理解することで、最適な装置構成および計測条件を決定する。これと並行して、mid-IRLASの校正を自動で行うための標準ガス導入システムの製作を行う。また、mid-IRLASの高確度化のため、ベースラインのドリフト補正に必要となるゼロガス(現場大気からCOSのみを除去したもの)の生成法を新規に考案・開発する。このように現場自動観測システムの開発を進める一方で、安定な標準ガスを確立するために、基礎実験で最も良好なCOS安定性が得られた、内表面を特殊酸化皮膜処理した9.4Lアルミシリンダーを用いた実大気保存実験を開始する。

課題代表者

奈良 英樹

  • 地球システム領域
    地球大気化学研究室
  • 主任研究員
  • 化学,理学
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