- 予算区分
- SII-9-2(1)
- 研究課題コード
- 2224BA009
- 開始/終了年度
- 2022~2024年
- キーワード(日本語)
- 原子力災害,地域資源,東日本大震災,パターンランゲージ,将来デザイン
- キーワード(英語)
- nuclear diaster,local resource,great east japan earthquake,pattern language,future design
研究概要
中間貯蔵施設周辺復興地域の将来デザインの検討に当たっては、地域住民の意思や復興計画等との整合を踏まえつつ、様々な地域課題に対処し、かつ脱炭素社会としてのコミュニティの再構築も必要となる。そこで地域の再生に新しい技術(未来技術)を取り入れることに加え、地域住民の想い、構想、要望、意見等を反映した協働が重要である。そこで、本課題では具体的な事業を中心に将来デザインの構築手法を開発する。より確実に社会実装へ繋がる事業立案の手法を検討するため、既存事例をパターンランゲージにより分析し、得られた知見からマニュアルを作成する。また、地域住民や行政等のステークホルダーとの対話から将来の希望や意向、地域資源を把握して定性的な将来デザインを作成する。これを客観的かつ定量的に評価する指標を設定し、先行研究で開発された地域統合評価モデルを応用して目標達成に必要な要件を定量化する。定量化には地域住民等との双方向型のプロセスを取り入れ、議論と推計を反復することでより具体的な将来デザインの構築に繋げる。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
より確実に社会実装へ繋がるような事業立案の手法を検討するため、住民参画により実施された既存の環境回復事業の事例研究パターンランゲージにより分析する。得られた知見を事業構想において活用できるよう、定性的な文章やイラストで記述し、留意事項をまとめたマニュアルを作成する。また、地域住民や自治体等のステークホルダーとの対話により、ステークホルダーが描く将来の希望や意向を把握し、定性的な将来デザイン(望ましい将来の地域の定性的なイメージの記述と環境面、経済面、社会面といった各側面の定性的な目標)を設定する。将来デザインを客観的かつ定量的に評価するため、定性的イメージと目標に対応する指標を設定する。さらに震災以前あるいは他地域の当該指標の値をベンチマークとして参照して各指標の将来における目標値を設定する。
次に地域統合評価モデルを応用して目標の達成に必要な要件を定量化する。先行研究で開発された地域統合評価モデルを基に、本研究で選定した指標を明示的に取り扱うことが出来るよう拡張しつつ、必要に応じて脱炭素型社会構築に資するシステムを付加し、それぞれの将来デザインに対する地域の社会経済活動、エネルギー需給、CO2 排出量などを推計し、各指標の目標値を達成するための諸要件と必要な未来技術を同定する。定量化には地域住民等との双方向型のプロセスを取り入れ、議論と推計を反復することでより具体的な将来デザインの構築に繋げる。これらの開発及び地域での活用を通じて対象地域における復興の複数の将来像等に対し、環境・経済・社会の各側面における具体的な将来デザインと定量的な目標、それらを実現するために必要な取組水準の目標等を取り入れる手法を開発する。これらは、地域統合評価モデル、パターンランゲージの成果をまとめた行政担当が参考となる地域づくりのマニュアルとして作成し、住民向けのリーフレットなどを作成することを目標とする。
今年度の研究概要
令和4年度は次の各点を実施する。
・対象地域における将来シナリオ構築を行うための地域住民等のステークホルダーや自治体との関係構築(地域の細やかな情報収集、地域対話・協働の場の創出・地域ヒアリング)
・地域統合評価モデル構築に利用するための情報収集・整備及び補完推計
・社会、環境、金融など多面的な視点から、現状の地域がもつポテンシャルの包括的評価のための指標選定
・住民参画型の事業における社会的・行政的プロセスについて時系列を含めたパターンランゲージによる分析・抽出
外部との連携
本課題は環境研究総合推進費SII-9-2のサブテーマ1である。同課題及びサブテーマの代表研究機関は農業・食品産業技術総合研究機構であり、国立環境研究所は分担機関となっている。
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