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先が読めない廃止期間を、半物理・半統計的に評価するための最終処分場エミッションモデルの構築(令和 4年度)
Establishment of Landfill Emissions Model for Determining the Post-Closure Care Period by Physics- and Statistics-Combined Approach

予算区分
1
研究課題コード
2123BA008
開始/終了年度
2021~2023年
キーワード(日本語)
管理型処分場,廃止期間,浸出水,半物理・半経験的アプローチ,対話式プラットフォーム
キーワード(英語)
Controlled Waste Landfill,Post-Closure Care Period,Waste Leachate,Physics- and Statistics-Combined Approach,Interactive Platform

研究概要

 最終処分場の廃止期間予測モデルの実用上の展開を図るため、従来の数値埋立モデルをベースとしつつ、実測データとの同化を行いながら予測計算を行う手法を開発する。半経験的ではあるものの実用性に優れたモデル構築を指向する。最終処分場における実測データが廃止期間等の予測に活用された事例は少なく限定的であったが、近年の情報技術の発達によって、実測データの大量収集が実現可能となっている。そこで、研究者(理論)と実務者(実際)が互いに情報を出し合うための情報基盤を作製し、その情報基盤上で研究者は数値埋立モデルを無償提供し、実務者からはそのモデルに修正を加えるための実測データを得る。この仕組みを構築することで、数値埋立モデルによる予測値と実測データの誤差を大量収集することが可能になる。集められた誤差情報を統計分析し最終処分場の幾何条件や構造条件等の因子と結びつけ類型化し、個々の最終処分場の特性に応じた補正量を推定する考え方を研究することで、廃止期間の推定をより実用的なものにする。

研究の性格

  • 主たるもの:政策研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

 最終処分場の物質動態を予測するためのモデルを、降雨が選択的に流れる水みち部分と水みち以外(不動水相と称す)に分けて考える。水みち内の物質挙動は物理シミュレーションによってモデル化し、不動相相は実測データに基づく統計学的モデリングを行う。
 水みちに係る研究では、1年目は最終処分場内での水みちの発生過程とその占有割合を調べるために長期的な高密度電気探査を行うとともに、当該調査地点の詳細な間隙構造を調べるためにX線CT分析を行うための試料採取を行う。2年目では電気探査を異なる地点でも進めていくことで、埋立廃棄物と水みちの発生割合の関係について研究する。X線CTで得られた間隙構造のデジタル情報からFEM流体解析を行い、水みちを移流分散パラメータ(有効間隙率と屈曲率)で表現する。3年目では、水みちを考慮した移流分散解析による浸出水濃度の予測結果と測定結果を比較しその誤差を最終処分場の諸元との相関分析によって類型化する。異なる最終処分場に対してより正確な予測結果を与えるための補正係数(実測値のトレンド)を類型毎に整理する。
 不動水相に係る研究では、1年目では実測データを効率良く集めるための情報基盤のプロタイプを試験公開し、それを用いて実測データの多くの最終処分場実務者から得るため仕様や運用方法、説明会の在り方を、埼玉県内の実務者とともに議論する。2年目は全環研協議会の協力を得ながら主要な都道府県を対象に同様の議論を行い、より幅広い意見を集め情報基盤を改良しつつ実測データを拡充する。3年目は全国産業資源循環連合会からの協力を得ながら実測データの収集範囲を産業廃棄物最終処分場にも展開する。集めた実測データは正確な廃止期間を推定するための補正係数の算出に用い、これを加味した移流分散解析によって浸出水濃度を予測シミュレーションする機能を情報基盤に実装する。

今年度の研究概要

(1) 水みち形成モデルの構築:X線CTで得られた間隙構造のデジタル情報からFEM流体解析を行い、水みちを移流分散パラメータ(有効間隙率と屈曲率)を得る。また、水みち形成過程を数値実験で研究するために、DEMとFEMを組み合わせた数理モデルで、埋立廃棄物の大きさや形状、充填密度が水みち形成に与える影響を調べる。
(2) 最終処分場実務者との連携強化及び実測データの拡充:全環研協議会の協力を得ながら主要な都道府県を対象に前年同様のワークショップ等活動を行い、一般廃棄物処分場についてより幅広い意見を集め情報基盤を改良しつつ実測データを拡充する。また産業廃棄物処分場についてもデータ収集対象として、活動を開始する。

外部との連携

埼玉県環境科学国際センター、全国環境研協議会、全国産業資源循環連合会、廃棄物資源循環学会埋立処理処分研究会

関連する研究課題

課題代表者

石森 洋行

  • 資源循環領域
    廃棄物処理処分技術研究室
  • 主任研究員
  • 工学博士
  • 土木工学
portrait

担当者