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発達期メチル水銀曝露による行動学的影響の生涯にわたる経時的追跡(令和 4年度)
Longitudinal Tracking of Behavioral Effects of Developmental Methylmercury Exposure in Mice

研究課題コード
2224BX001
開始/終了年度
2022~2024年
キーワード(日本語)
発達期メチル水銀曝露,動物モデル
キーワード(英語)
Developmental Methylmercury Exposure,Animal Model

研究概要

メチル水銀の発達期の曝露影響については、これまでも疫学的・実験的な手法による研究が進められ、運動や認知機能に及ぼす影響が明らかになっている。しかし、どのような影響が、個体の生涯のいつからあらわれ、加齢にともなって増強ないし減弱していくかなど、生涯発達軸に沿った長期的な時系列的変化に関する知見は少ない。
本研究では、マウスを動物モデルとして、ホームケージ環境下での長期全自動行動観察手法や高精度なキネマティクス解析手法を用い、若年〜高齢期に至るまでの行動学的・運動学的毒性影響を長期間、経時追跡できる研究手法を複数確立する。これらの手法を運用し、発達期メチル水銀曝露マウスにおいて、若年〜高齢期まで経時的な行動・神経生理情報を収集し、各ライフステージにおける毒性影響を評価する。また、各ライフステージにおいて採取した血液サンプルから、行動の特徴と関連するバイオマーカーを探索する。一連の研究を通して、メチル水銀の発達期曝露影響と加齢の関係についての基礎的知見を得るとともに、特にこれまでに知見の少ない高齢期における詳細な影響の有無を明らかにする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

1年次:発達期メチル水銀曝露マウスの行動・神経生理機能を、経時的かつ多面的に解析するため、各種マウス行動解析技術を組み合わせた発展的な新規毒性研究手法を確立し、疫学研究において報告されている不眠や認知障害、運動機能障害をはじめとした多様な行動指標について、自然加齢の基礎データを収集する。2年次以降の解析のため、発達期メチル水銀曝露マウスを作製する。
2年次:上記確立した手法を組み合わせて運用し、発達期メチル水銀曝露モデルマウスにおいて、若年期〜壮年期に渉る行動・神経生理機能を記録するとともに、精神神経疾患の検出に対応可能な行動課題を実施、一連のデータから、仮説に依存しない未知の表現型探索を効率的に行うための解析フローを確立し、メチル水銀曝露による特徴的な表現型の抽出/分類を目指す。各ステージにおいて血液サンプルを採取し、血中タンパク質の網羅解析を行う。
3年次:発達期メチル水銀曝露モデルマウスの中年期〜高齢期に渉る行動・神経生理機能を記録するとともに、精神神経疾患の検出に対応可能な行動課題を実施、行動特徴を抽出する。各ステージにおいて血液サンプルを採取し、血中タンパク質の網羅解析を行う。

今年度の研究概要

1.ホームケージ環境下での長期・全自動解析手法の確立、および高度なキネマティクス運動学的解析手法の確立:(1)非接触通信技術を用い、アンテナをマウスの生活空間内に自由に多数配置することで多種多様な生活行動を記録できるシステムを構築し、多項目の行動指標を確立する。(2)全自動マウス行動試験装置IntelliCage(TSE社)を用い、先行研究で検討の及ばなかった各種認知機能を、より詳細に評価するための新たな課題を設計する。(3)加速度(xyz/秒)、体温(0.1℃単位/分)を継続して測定できる無線給電テレメトリ(フェノバンス社)を用い、行動・生理情報を取得する。その情報を用い、様々な活動状態の判定(睡眠/休息、歩走行、跳躍、摂餌/飲食行動、常同行動、情動反応、発作等)について検討する。(4)キネマティクス解析装置MotoRater (TSE社)を用い、運動に関する数十〜百のパラメータの取得を試みる。
2.自然加齢の基礎データ収集:自然加齢に伴う行動の変遷を検討するため、若年期、壮年期、中年期、高齢期に相当する野生型マウスを用い、各ステージに特徴的な行動・生理機能指標を同定する。
3.発達期メチル水銀曝露モデルマウスの作製:母体経由でメチル水銀を3用量投与する。産仔は離乳後、分担者研究機関に分配する。

外部との連携

フェノバンス合同会社

関連する研究課題

課題代表者

ベナー 聖子

  • 環境リスク・健康領域
    生体影響評価研究室
  • 主任研究員
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担当者