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社会科学の計量分析再考:“説明”の評価と解釈に関する数理的開発と検証(令和 4年度)
Rethinking quantitative analysis in the social sciences: Mathematical development and verification of evaluation and interpretation of "explanations"

研究課題コード
2224CD024
開始/終了年度
2022~2024年
キーワード(日本語)
因果推論,量的研究,質的研究
キーワード(英語)
causal inference,quantitative research,qualitative research

研究概要

本研究は、因果推論の勃興を契機とし、社会科学の半ば慣習的な統計分析が再考を迫られると認識した。そこで、従来は因果分析とされたが、厳密には因果推論ではない分析を仮に“説明”とし、その再定義、モデル評価、係数の解釈に関する新たな理論を構築する。この取組について、社会科学の方法論について深遠な議論を展開している専門家、心理学、経済学、統計科学、データサイエンスを代表する専門家と共同し議論を深めていく。併せて、新たな実験的調査を実施し、得られた情報に関して、新たな"解釈"の可能性を検討する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

研究期間を2022〜2024年度の3年間とし、以下の研究方法・内容を展開する。

A.見取り図の作成:最近の社会科学における計量分析の目的・方法に関する考察を整理・検討し、現段階での議論の到達点の見取り図を作成する。

B.先行研究の検討・インタビュー:国内外の計量分析の先端的議論をフォローしつつ,各専門分野の計量分析論文のレビュー及び専門家へのインタビューをもとに、「因果」「説明」のパラダイムの線引きがどう認知されているか,どのような目的・文脈で用いられたのか、モデルの評価や得られた値(係数)をどう解釈したのか等を整理・検討する。

C.数理・計量モデルの開発・実証:Bの検討を元に,計量分析における「説明」の定義を,数理モデルの構築・開発およびシミュレーションを通じて試みる。また各専門分野の目的に応じた「説明」モデルの標準についても,数理的に検討・開発を試みる。

D.プロセス・成果の公表と外部評価:初年度からメンバーによる公開研究会を開催し、研究の進捗状況を披露する。毎年度末には公開シンポジウムを通じた外部評価を実施する。また、広島大学高等教育研究開発センターが有するオープンジャーナル・映像アーカイブを通じて研究会の記録を発信し、議論のプロセス自体をも共有する。最終的には国内外での学会発表・学術論文および書籍等を通じた成果の公表を行う。

今年度の研究概要

最近の社会科学における計量分析の目的・方法に関する考察を整理・検討し、現段階での議論の到達点の見取り図を作成する。具体的には、統計的因果推論から得られるエビデンスと質的研究の関係性について、(1)エビデンスの社会利用の観点、(2)エビデンスの外的妥当性の観点、(3)エビデンスにおける法則性と固有性の観点、から統計的因果推論の内在的な理論の検討をもとに総合的な整理を行う。

外部との連携

本研究の研究代表者は広島大学高等教育研究開発センターの村澤昌崇准教授である。

課題代表者

林 岳彦

  • 社会システム領域
    経済・政策研究室
  • 主幹研究員
  • 理学博士
  • 生物学
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