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海産魚の脊椎骨に含まれる重金属蓄積の種特異性メカニズムの解明とその応用(令和 5年度)
Elucidation of species-specific Mechanism for Heavy Metal Accumulation in the Vertebral Bones of Marine Fish and its Application

研究課題コード
2325CD108
開始/終了年度
2023~2025年
キーワード(日本語)
ストロンチウム,重金属,海産魚,脊椎骨
キーワード(英語)
strontium,heavy metal,marine fish,vertebral bone

研究概要

これまで福島県沿岸で採集した多種の底棲魚類の脊椎骨に含まれる放射性ストロンチウム(Sr-90)を解析した結果、魚種によって骨中のSr-90濃度に違いがあることを示した。その要因を検討したところ、どの魚種も骨中の総Ca濃度が一様に35%前後であった一方で、総Sr濃度は種によって濃度域が変わり、Sr/Ca比を見ると種差があり同種では一定の値を取ることが明らかとなった。高いSr-90濃度が検出される種はSr/Ca比が高く、従ってSrを骨に蓄積させやすいことが示唆された。Ca及びSrは主に海水から取り込まれると考えられるが、同じ海域にも関わらず魚種によって骨へのSrの蓄積特性は異なり、そのメカニズムは不明である。そこで本研究課題では、Srの蓄積特性の違いに関わる因子を探るとともに、他の重金属(カドミウムや亜鉛等)についても同様に種差があるのかを調べ、海洋の重金属のモニタリングや重金属の効率的な除去方法の開発に繋げることを目的とした。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究ではSr/Ca比がどのようにして変化しているか、その要因を、イオンが体内に取り込まれるプロセスと骨の主成分である炭酸アパタイトの性質に分けて明らかにする。また、Sr以外の重金属についても蓄積に傾向があるかを調べ、海水組成との関係性を解析することで指標としての利用可能性を検討する。さらに、様々な魚種の生体アパタイトによる重金属吸着・除去性能について解析する。研究期間の前半では、魚類の各組織における元素組成解析や各種魚類の脊椎骨中の元素組成及び結晶構造解析、また魚類試料採集水域の海水の元素組成と生体内の元素組成との関係性を調べる。また研究期間の後半では飼育実験による海水の元素組成が生体内の元素組成に及ぼす影響の解析や脊椎骨を用いた重金属除去への応用を行う。

今年度の研究概要

魚の種別、組織別に含まれる元素濃度を測定し、元素が体内に取り込まれる段階で元素濃度の比が種特異的になっているのかを調べる。また、骨の主成分である炭酸アパタイト結晶の結晶相が魚種によって異なっているのかを調べる。

関連する研究課題

課題代表者

近都 浩之

  • 環境リスク・健康領域
    生態系影響評価研究室
  • 研究員
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