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2019年2月28日

受賞のお知らせ ~ 石森 洋行主任研究員が国際ジオシンセティックス学会日本支部からJC-IGS論文賞を受賞

概要

受賞者氏名: 石森 洋行(資源循環・廃棄物研究センター)
賞の名称:  JC-IGS論文賞
授賞機関:  国際ジオシンセティックス学会日本支部
受賞年月日: 2018年12月06日
受賞対象:  有機化合物に対する塩化ビニル系遮水シートの遮蔽性能とその支配因子について,Geosynthetics Engineering Journal ,32, 81-88,2017

石森洋行主任研究員の写真

ひとこと

本論文は、処分場浸出水中にときとして検出されている1,4-ジオキサンと、かつて内分泌攪乱物質として要監視項目のひとつに挙げられていたビスフェノールAに着目し、それらに対する遮水シートの遮蔽性能を評価したものです。研究対象にした遮水シートはわが国で最も使用されている塩化ビニル系遮水シート(PVCシート)であり、1,4-ジオキサンとビスフェノールAを含む代表的な有機化合物25成分に対して拡散透過試験を実施することでPVCシートを通過する速度を評価しました。その結果、PVCシートを有機化合物が通過するか否かは、有機化合物の溶解度やオクタノール水分配係数が支配因子となることがわかりました。有機化合物の疎水性が高いほどPVCシート表面への吸着が多くなり、PVCシートの浸入面と浸出面により大きな濃度勾配が発生するためより短時間で通過することになります。ビスフェノールAは疎水性でありPVCシートへの通過は認められましたが、その速度は遅く、分子径が大きいためPVCシートの細孔径を通過しにくいと考えました。水中で完全水和する1,4-ジオキサンは親水性であり、PVCシートに吸着することはなく、またPVCシートの通過も本実験期間中では認められませんでした。