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2018年12月18日

受賞のお知らせ ~ 北野 裕子特別研究員・山野博哉センター長らがDNA多型学会若手研究賞を受賞

概要

受賞者氏名: 北野 裕子・山野 博哉(生物・生態系環境研究センター)
賞の名称:  DNA多型学会若手研究賞
授賞機関:  日本DNA多型学会
受賞年月日: 2018年12月07日
受賞対象:  温暖化で北上・分布している日本の温帯サンゴ域は造礁サンゴの避難所となりえるのか?,日本DNA多型学会 第27回学術集会, 同予稿集 , 74,2018

ひとこと

このたび賞をいただいた研究は宮崎大学の安田仁奈准教授が主体となって行われた共同研究です。近年の海水温上昇に伴い造礁サンゴの種においても北上・分布拡大が起こっていることが確認されていますが、このように新規に形成された若い集団は遺伝的多様性が乏しく、少しの環境変化で地域絶滅するリスクや脆弱性を持つ可能性があります。本研究では北上傾向のある複数の種について集団の遺伝的多様性を明らかにするとともに、分布統計モデルを用いて今後造礁サンゴを保全してゆく上で重要な海域を推定しました。その結果、①温帯域に分布拡大してきた造礁サンゴ集団の遺伝的多様性は種によって大きく異なること、②亜熱帯域から温帯域への1世代での分散の可能性は低いものの、複数世代では移住の可能性があることがわかりました。また、これらを統合した統計モデルにより①亜熱帯域は依然として保全重要度が高いこと、②温帯域で昔から造礁サンゴの分布する一部の海域も相対的に保全重要度が高いことが示されました。今後は幼生分散能力の異なる他の種にも対象を広げ、分布拡大の起こっている種とそうでない種の比較についても研究を行なってゆきたいと思います。