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災害・放射性物質汚染廃棄物等の処理処分技術・システムの構築(平成 27年度)
Establishment of management technologies and systems for disaster and radioactively contaminated wastes

予算区分
AP 基盤整備
研究課題コード
1215AP110
開始/終了年度
2012~2015年
キーワード(日本語)
災害廃棄物,放射性物質汚染廃棄物
キーワード(英語)
disaster waste, radioactively contaminated waste

研究概要

東日本大震災や原発災害がもたらした災害廃棄物や放射性物質汚染廃棄物等の適正な処理処分技術・システムの構築は、被災地の復旧復興、環境再生を図る上で最も重要かつ危急を要する課題である。そこで、技術的な課題を解決するために必要な科学的知見や技術・システムの構築に資するための調査研究を総合的に推進する。具体的には、災害廃棄物の解体撤去から仮置き、分別、破砕選別、処理・リサイクルまでの技術的課題について、現場での実証的調査研究等を行い、知見を集積し、技術指針等として取り纏めて発信する。放射性物質汚染廃棄物等については、放射性物質の挙動を基礎的及び実証的な調査研究によって解明し、適正な技術・システムの設計、評価を行う。それらにより得られた知見は、各種の技術指針等に反映させる。その他、政策・マネジメント手法やリスクコミュニケーション手法等についても調査研究を行う。

今年度の研究概要

(放射能汚染廃棄物)
1)除染廃棄物等の熱処理について、室内実験や施設調査により熱処理時の放射性セシウム挙動実態を明らかにするとともに、マルチゾーン熱力学平衡計算を適用して化学種の特定も含めた予測を行う。不燃系廃棄物で量が多いコンクリートについて、実コンクリートへの放射性セシウムの浸透状況解析や浸透試験を行い、除染指針を提示する。焼却飛灰について、中間貯蔵の前処理としての洗浄技術の適用性等を明らかにするとともに、埋立地浸出水におけるモニタリング・アラートシステムの確立を図る。指定廃棄物の最終処分や中間貯蔵におけるコンクリート構造物等が備えるべき技術的要件等を整理した技術指針の適用後に必要な維持管理技術を調査する。除染廃棄物や災害廃棄物の保管、貯蔵における溶出挙動や土壌層の吸着特性、難透水性最終覆土について、実験等により長期的な挙動を把握するとともに、長期予測手法の確立を行う。
2)焼却施設内の耐火物・付着物等への放射性セシウム等の蓄積調査を行い、蓄積状況の整理と蓄積メカニズムの解明およびクリーニング効果の検討を進め、被ばく・汚染拡大防止の観点から維持管理・解体手法を提示する。除染土壌等の中間貯蔵における放射性セシウムの長期的な挙動予測手法を確立するとともに、汚染廃棄物最終処分場の維持管理や廃止確認、跡地利用に係る技術要件を提示する。
3)放射能濃度測定に関して、試料採取方法等測定の妥当性の評価、α線β線核種測定方法の検討を行う。また、発生源に着目した大気降下物調査を行う。廃棄物・副産物の発生から処分・再生利用までの処理過程での放射性物質のフロー・ストックの実態把握より作成した分析モデルと横断的被ばく線量評価ツールの接続により、フロー・ストックの分析やそれに沿った被ばく線量評価を進める。汚染問題に関する社会認識や、汚染廃棄物処理等に関する関係地域住民等の反応について、社会科学的調査による知見やレビュー調査を踏まえ、リスクガバナンスのための指針をまとめる。

(災害廃棄物)
1)東日本大震災の実績値により推定された災害廃棄物発生量原単位について、その精度向上を図るとともに、地域特性や災害後の時間経過の視点を組み込んだ量的質的管理手法の確立とそのシステム開発を行う。被災特性に対応した災害廃棄物処理技術の設定手法や、その核となる選別技術の制御因子を検討するとともに、災害廃棄物中石綿含有物の適正管理方法について取りまとめる。災害廃棄物や津波堆積物から得られた分別土砂の長期カラム試験、実証盛土試験を継続するとともに、有効利用ガイドラインの活用策を検討する。浄化槽の耐震性評価方法の検討、自立型浄化槽システムモデル試験、し尿・汚泥輸送シミュレーションを行い、災害時の分散型浄化槽システムの構築検討を進める。アジア地域における廃棄物管理の災害に対する脆弱性評価ツールを開発し、廃棄物管理計画の改善に向けた指針を提示する。東日本大震災等の過去の災害経験について、災害対応システム、組織機能論、あるいは事業継続の観点から調査分析し、マネジメントやリスクガバナンスの基礎的なメカニズムの解明、先進事例の調査によりさらなる検証を行う。
2)災害に伴う環境と健康のリスク要因に対する管理戦略のあり方と方法の確立を目的とし、災害時から平常時に至る動的・戦略的リスク管理目標の考え方と構築の検討を進める。災害時の探索的・迅速分析の構築として、災害時の探索的・迅速調査の方法、非標的分析の手法、また現地調査手法等の開発と体系化の検討を、被災地現地調査とその解析を進めつつ行う。災害時の健康・環境リスクの管理を支える体制のあり方について、国内外の事例調査等および地方環境研究所など諸機関との実際の協力関係を通じて検討する。
3)大規模災害時に災害廃棄物処理を円滑に推進するために必要となる人材育成システムの構築に向けて、災害廃棄物処理業務に求められる能力や知識を総合的かつ体系的に習得することができる研修プログラムの開発を行う。また、人材育成や関係者のネットワーク構築を支える災害廃棄物情報プラットフォームについて、平成25年度に構築したシステムにおける新たなコンテンツを作成する。さらに、人材育成のための研修プログラムや情報プラットフォームづくりの検討とも連携させながら、関係者間のネットワークづくりを行う。

外部との連携

廃棄物資源循環学会、地盤工学会、日本原子力研究開発機構、産業技術総合研究所、福島県環境創造センター、中間貯蔵・環境安全事業株、他民間企業

課題代表者

大迫 政浩

  • 資源循環領域
  • 領域長
  • 工学博士
  • 工学
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担当者