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湖沼の生態系の評価と管理・再生に関する調査研究(平成 29年度)
Studies on conservation and ecosystem management of Lake Biwa

予算区分
MA 委託請負
研究課題コード
1720MA001
開始/終了年度
2017~2020年
キーワード(日本語)
湖沼生態系,生物多様性,モニタリング,環境DNA,保全
キーワード(英語)
lake ecosystem,biodiversity,monitoring,eDNA,conservation

研究概要

琵琶湖においては、工場等に対する排水規制や流域下水道、農業における施肥指導等、県民も含めた種々の水質改善努力により、富栄養化は抑制されつつあるが、琵琶湖の水環境は必ずしも健全な状態にあるとはいえず、異臭味の発生による利水障害、内部生産による水質への影響、水草の異常繁茂による湖内部および沿岸域での環境悪化、二枚貝等の著しい減少をはじめとした生態系の脆弱化を招くに至っている。
これらの諸課題に対応し、健全な琵琶湖の水環境を保全・管理・再生していくためには、今後とも水質汚濁メカニズムを明らかにしながら各種汚濁負荷削減を継続し、さらに水質、水生生物、水辺地を含む水環境を総合的に把握するための新たな水質評価手法や生物資源・生態系保全の評価手法を構築し、改善手法を見出していくことが求められている。

研究の性格

  • 主たるもの:行政支援調査・研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

1)琵琶湖生態系の保全・管理・再生手法に関する研究
琵琶湖の在来魚の回復を目標とし、それに必要な環境因子の解明を行う。野外調査、既存データの収集、結果の統計解析などを通じ、琵琶湖生態系の管理・再生に向けた手法の検討を行う。

2)生態系評価・予測のためのモニタリング手法の検討
琵琶湖生態系評価・予測をより高精度に可能にするため、環境DNA解析の技術や遠隔観測などを活用したモニタリング手法を開発する。

今年度の研究概要

3−2.琵琶湖生態系の保全・管理・再生手法に関する研究
(1)既存データの解析
これまで複数の多様な機関によって取得された琵琶湖の生物と環境に関する既存のデータの収集を開始する。これに加えて、予備的に行ってきた魚類の産着卵調査の結果等を用い、対象とする在来魚類の再生産に重要と考えられる環境に関する調査項目の検討を行い、次年度以降の本調査に備える。
(2)野外での予備調査の実施
南湖と北湖を含む複数の地点において、環境DNA調査を含む物理・化学・生物環境の把握調査を予備的に行い、次年度以降の本調査に向け、方法・手順の検討を行う。

3−3.生態系評価のためのモニタリング手法の検討
(1) 開設されたばかりの琵琶湖分室においてDNA解析を行えるようにするため、実験設備の立ち上げを行う。琵琶湖産魚類の各種・系統がどの程度識別できるかをデータ上あるいは実際の予備実験を通して検証し、解像度が不十分な場合は参照データセットの更なる整備を行い、必要な場合は新たな遺伝子領域をターゲットとする手法を開発する。また、次年度から行う本調査の地点を、3−2の(1)の結果にもとづき選定する。
(2) 水草繁茂監視のためのカメラの設置など、遠隔計測の手法開発を開始する。

外部との連携

西野麻知子(びわこスポーツ成蹊大学)・牧野 渡(東北大学)

課題代表者

馬渕 浩司

  • 生物多様性領域
    琵琶湖分室(生物)
  • 室長(研究)
  • 博士(農学)
  • 生物学,水産学
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担当者