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熱帯林 - 持続可能な森林管理をめざして

環境儀 NO.4

奥田敏統
択伐後,四十数年経た二次林は一見,天然林と見分けはつきませんが森林の構造や生態系は,大きく変わっていました。

 地球上の生物種の半数以上が生息する熱帯林地域は,世界でもっとも多様な動植物を含む生態系が作り上げられている「種の宝庫」です。しかし近年,熱帯林は急速な減少を続けています。無秩序な森林伐採はかなり抑えられたものの,プランテーション,農牧畜地域などへの土地利用の改変は現在も盛んに行われていて,熱帯林の減少に歯止めがかかりません。この背景には急速な人口増加,貧困など社会的な問題があり,解決への道は容易ではありません。

 国立環境研究所では,森林総合研究所やマレーシアの研究機関,大学と共同で12年前からパソ保護林を中心として熱帯林の研究に取り組んでいます。研究面から熱帯林保護にどんな貢献ができるのか。本号では,その基礎研究の積み重ねの概略を紹介しながら,これ以上の熱帯林の破壊をくい止める手法としての「持続可能な森林管理」の研究を紹介します。