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「湖沼の生態系管理」研究のあゆみ

 本研究は以下の2課題に沿って平成7年度から実施されました。

課題1:富栄養湖沼群の生物群集の変化と生態系管理に関する研究(平成7〜11年度)

 中国の長江中下流域を含む東部湿潤地域には同国内の約42%に相当する淡水湖があり,その水資源が地域の経済や人々の生活を支えています。一方,急速な経済発展に伴って生活排水などの汚濁負荷が増えたことが,この地域の湖沼でのアオコの発生や生物資源の劣化を招いています。そこで長江流域の代表的な湖沼の環境問題の現状を把握するとともに,三峡ダムの建設によって今後生物相が大きく変化することが予想される洞庭湖の水質と生物について調査しました。さらに,都市近郊の富栄養化した湖沼の管理手法の一つとして,ハクレンを用いたバイオマニピュレーションの有効性を隔離水界実験により検証しました。

  • 長江流域の浅い富栄養化湖沼が抱える様々な環境問題
  • 洞庭湖の調査
  • 東湖の調査と長期変動
  • 浅い富栄養湖沼でのバイオマニピュレーションの可能性

課題2:生物間相互作用を考慮した適切な湖沼利用と総合的な湖沼保全を目指す基礎的研究(平成10〜12年度)

 十和田湖では,近年透明度が低下しヒメマスの漁獲量が減少しています。その原因は,意図せずに導入されたワカサギが,エサである大型プランクトンをめぐりヒメマスと強い競争関係を引き起こし,そのため動物プランクトンが小型化し,その結果植物プランクトンが増加したためであることがわかりました。このことは湖の環境とそこに生息する生物が密接につながっていることを示しています。本研究では,十和田湖を対象にヒメマスとワカサギの個体群動態を解析するとともに,湖の沖ならびに沿岸域生態系の特徴を把握し,集水域の評価を行い,今後の十和田湖の健全な生態系の維持管理についての提言を青森・秋田両県に行いました。

  • 水産資源の管理
  • 十和田湖沖の生態系の特徴
  • 集水域の評価と沿岸域の役割

この研究は以下の組織・スタッフにより実施されてきました。

研究担当者

課題1

  • 地域環境研究グループ
    高村 典子,福島 路生,木幡 邦男,松重 一夫,今井 章雄
  • 中国科学院水生生物研究所
    謝 平,黄 祥飛,黄 根田,諸葛 燕,王 建,載 莽(故),梁 彦齢,沈 芬,王 士達,倪 楽意,楊 宇峰,叶 軍,宋 天祥
  • 客員研究員
    原田 泰志(三重大学),立川 賢一(東京大学),中島 久男(立命館大学),浜田 篤信(元茨城内水面水産試験場)

課題2

  • 地域環境研究グループ
    高村 典子,加藤 秀男
  • 生物圏環境部
    野原 精一,上野 隆平
  • 青森県環境保健センター
    三上 一,工藤 精一,松尾 章,工藤 幾代,野澤 直史,前田 寿哉,石塚 伸一,工藤 健,坂崎 俊璽,大久保英樹,野澤 久志,神 毅統,今 俊夫
  • 秋田県環境技術センター
    片野 登,加藤 潤,泰良 幸男,渡辺 寿,珍田尚俊
  • 青森県内水面水産試験場
    長崎 勝康,沢目 司,木村 大,高橋 宏和
  • 秋田県水産振興センター
    水谷 寿
  • 水産庁さけます資源センター
    鈴木 俊哉,斎藤 寿彦
  • 客員研究員
    帰山 雅秀(北海道東海大学),森 誠一(岐阜経済大学),上田 宏(北海道大学),牧野 渡(北海道大学),大高 明史(弘前大学),森野 浩(茨城大学)