編集後記
大気圏環境部・共同研究員のマクシュートフ氏の筆による「ずいそう」を読んで,「おっしゃるとおり」と思わず相づちを打ちました。私自身も入所時には,学際性が売り物なのに閉鎖性水域のように独立的な組織に違和感を抱きました。マンパワー不足に「なんで俺が試験管洗わないかんの」と憤りもしました(今でも洗っていますが)。
個人の才能・努力・犠牲で立派な研究を行うことは可能です。しかし,組織・システムが研究効率を高めるようなものであれば,個人的な犠牲を強いずに,研究成果は飛躍的に上がります。「日本の大学の研究環境より恵まれている」とか「逆境のほうがいい研究ができる」とかの意見も耳にします。日本の研究者だけがライバルなら問題はないのですが国際的な競争を行っている訳ですし,また,逆境をものともせず成果をあげても依然逆境にある例が多いようです。
この「ずいそう」をきっかけとして,大学との交流が盛んとなり,環境研で研究効率を高めるシステムが根付くことを願い,今日もガラス瓶を洗います。(A.I)
目次
- 忙しすぎる研究者
- 素朴な疑問の解決にたちかえってきた地球環境研究
- 総合研究と基盤研究の重点化
- 重金属に関連した毒性学研究の今日の課題(Comtemporary Issues in Heavy-Metal Related Toxicology)国際シンポジウム開催報告
- in vivo と in vitro環境問題豆知識
- 流域環境管理に関する国際共同研究研究プロジェクトの紹介(平成8年度開始重点共同研究)
- 野生動物の保護と家畜の共存条件を求めて研究ノート
- 暗い熱帯雨林の中の明るい陽斑研究ノート
- 研究発表会・特別講演会報告
- 最近の地球環境研究の進展と国立環境研究所の研究について思うことずいそう
- 表彰
- 人事異動