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環境情報センターの業務展望

環境情報センター

高橋 進

 環境情報センターは,これまで環境庁の組織規則上も,環境情報の収集・整理・提供にかかわる部署として明示されてきたが,独立行政法人化後も「環境情報の収集・整理・提供」業務は,国立環境研究所の主要業務の一つとして位置付けられている。また,研究成果の発信などは,それぞれの研究領域,研究者が学会等で発表することが基本であり,最近はインターネットなどの各種ツールの活用も盛んであるが,今後はますます,研究所の業務を研究者のみならず国民一般などにも理解して頂くことが重要となろう。このための一元的,体系的な情報提供も環境情報センターの役割のひとつである。すなわち,今後の環境情報センターの業務目標としては,2つの分野(1)環境情報の収集・整備・提供,(2)国立環境研究所研究成果等の発信および研究支援がある。これらの目標達成のためには,それぞれの目的および対象(政策決定者(行政),研究者,企業,NGOその他一般国民など)に応じたきめの細かい環境情報内容とIT革命成果も取り入れた適切な提供形態を検討して整備・実施する必要がある。

 幅広い層へ的確な環境情報を提供することにより,環境の現状を理解,認識して頂き,それぞれの立場から環境保全のための行動を起こして頂くための情報提供業務は,環境情報センターの重点的業務である。特に,国民等に対し,様々な機関・団体が提供する環境情報を広く案内,提供するためのインターネット(EICネットhttp://www.eic.or.jp)については,地理情報システム(GIS)活用等も含め,魅力ある適切な情報(コンテンツ)の整備提供,必要情報の検索,適切な他サイトへの案内(ナビゲーション),照会対応など,環境情報提供の総合窓口(ポータルサイト)として便利で適切な環境情報提供ができるように運営する必要がある。ここでは,政府や自治体などの環境政策や調査観測データの提供に加え,企業の環境会計やライフサイクルアセスメントの導入および環境NGO活動の活性化などを支援するための企業・NGOなど活動情報交流の場の提供やエコライフガイド,エコキッズ環境教育などにより企業や国民が環境の現状を理解・認識し,自ら環境への負担の少ない行動を取ることを支援することとしている。

 国立環境研究所の研究成果については,従来のような報告書の印刷・普及のほか,CD-ROMや国立環境研究所ホームページ(http://www.nies.go.jp/index-j.html)からの提供,さらには研究成果を一般にもわかりやすく書き下し(リライト)した物を提供することも検討する。また報告書のみならず,誰がどんな研究を行い,どんな成果が発信されているかを手軽に知ることができるデータベースも充実する必要がある。さらに,研究の成果でもある各種データベースの整備提供や図書室資料の体系的収集提供,その他研究所内ネットワークや大型電子計算機の管理運用など,研究支援のための基盤的業務も環境情報センターの仕事となっている。将来には,他機関での研究成果の活用も含めた環境状況年次報告書等独自報告書の編集発行による一般への普及なども手がけることが必要となろう。

 これら発信する情報は独りよがりのものであってはならず,特にインターネットホームページは,多くの利用者が毎日一度は覗いて見たくなるような魅力と科学的内容(正確さ,公平さなど)を兼ね備えたものとする必要がある。さらに,環境情報のあり方自体にかかわる研究や環境データの統計・解析なども環境情報センターでどこまで取り組むか,できるかが課題である。こうした業務の遂行のためには,所内研究者との連携はもとより,環境省をはじめ,国内外の関係機関との緊密な連携と国民の支持が必要である。今後とも関係皆様のご支援・ご指導をお願いしたい。

(たかはし すすむ, 環境情報センター長)

執筆者プロフィール

環境庁等で,主として自然環境保全行政に従事。この間,環境省生物多様性センターやインドネシアの生物多様性センターおよび自然保護情報センターなど,自然環境関係情報センターの設立にも従事。

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