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廃棄物系バイオマスのWin-Win型資源循環技術の開発(平成 20年度)
Developing Win-Win resource recycling technology for waste biomass

予算区分
AA 中核研究
研究課題コード
0610AA203
開始/終了年度
2006~2010年
キーワード(日本語)
廃棄物系バイオマス,Win-Win型開発,再生可能エネルギー,省エネルギー・省資源化,ガス化-改質,炭素転換,冷ガス効率,ガス精製,バイオ燃料,相分離技術,メタン・水素発酵プロセス,高濃度アンモニア排水,MAP,ANAMMOX,ハイブリッドアンモニア処理システム,リン除去・回収システム,リン吸着・電解システム,対費用効果,未利用バイオマス,有機性排水処理,地域特性,食品廃棄物,乳酸発酵,家畜飼料化,低品質バイオプラスチック製品,システム総合化,産業共生
キーワード(英語)
WASTE BIOMASS, WIN-WIN DEVELOPMENT, RENEWABLE ENERGY, ENERGY/RESOURCE SAVING TECHNIQUE, GASIFICATION AND REFORMING, CARBON CONVERSION, COOLING GAS EFFICIENCY, GAS CLEANING, BIOFUEL, PHASE SEPARATION TECHNIQUE, METHANE-HYDROGEN FERMENTATION, STRONG AMMONIUM CONTENTS WASTEWATER, MAP, ANAMMOX, HYBRID AMMONIUM TREATMENT SYSTEM, PHOSPHORUS REMOVAL/RECOVERY SYSTEM, PHOSPHORUS ADSORPTION/ELECTROLYSIS SYSTEM, COST-EFFICIENCY ESTIMATION, NON-REUSE BIOMASS, ORGANIC WASTEWATER, REGIONAL CHARACTERISTICS, FOOD WASTES, LACTIC ACID FERMENTATION, PRODUCTION OF FEEDSTUFF, LOW QUALITY BIOPLASTICS, SYSTEM INTEGRATION, INDUSTRIAL SYMBIOSIS

研究概要

廃棄物系バイオマスを対象とした資源循環を実現するための高度な要素技術・システム開発を行い,さらに動脈産業と静脈プロセスとの産業共生または一体化システムを開発・実証・評価することにより,廃棄物排出の回避・低減と資源化を可能とすると同時に地球温暖化防止および資源の持続的な確保や生産性向上にも寄与することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

ガス化-改質技術用触媒の長時間耐久性試験評価により触媒の高度活用技術開発を進めるほか,バイオフューエル製造技術の高度化等の多様な利用技術開発にも着手する。水素/メタン発酵・脱離液処理システムに関し,対象バイオマスの発生特性等に応じた解析・評価を行う。高効率リン回収技術・システムの規模要件および廃液特性等に応じた現状分析を行う。乳酸発酵残さの養鶏等飼料へのカスケード利用における各種条件を整理する。廃棄物系バイオマス等の賦存量等を把握し,地域条件に応じたシステムの基本設計,動脈プロセスへ受け入れるための質転換技術の開発に着手する(18年度)。
 ガス化-改質による生成ガスの選択的な分離・制御が可能な技術的要件等を明らかにし,またバイオフューエル製造の省エネ・資源化プロセスを提示する。また2相式酸発酵プロセスを水素発酵との共存型にすることによりエネルギー回収効率の向上をはかるほか,アンモニア除去プロセスの実用化上の最適設計・運転条件を確立する。リン等の吸着/脱離/資源化/吸着剤再生の技術因子を求め,リン酸鉄含有汚泥からの回収効率向上をはかる。食品廃棄物の発酵試験に基づき,乳酸回収と飼料化のための特性評価を行う。水熱反応等の質転換技術に関する基礎データ集積による実証プロセスの設計を行うとともに,動脈プロセス受入時の妨害物質等の実プロセス内挙動に関する知見の集積を図る(19年度)。
 ガス化-改質方式のパイロット規模プラント運転によりガス生成に最適な操作因子を検証し,実用化のためのシステム構成要素を検討するほか,バイオフューエル製造の省エネ・資源化特性を基礎実験により把握する。バイオ資源基質の資化特性,発酵特性把握に基づき二段発酵プロセス設計と高濃度アンモニア除去技術等カスタマイズ技術の構築をはかる。リンの除去・回収特性の把握を進め適用地域条件等を考慮した液状物,固体への適用基盤プロセス設計を行う。乳酸発酵運転の最適化とともにポリ乳酸の製品化と飼料生産のためのビジネスモデル作りを提案する。一部の開発技術についてモデル地域での実証体制を整備する。動脈プロセスへの妨害物質等の制御条件に関するデータ集積を図る(20年度)。
 ガス化-改質パイロット試験において要素技術を対象物の種別に応じ最適化し,また,実証試験からバイオフューエル製造の最適条件を提示する。水素/メタン発酵要素実験成果を窒素除去と合わせて汎用化するためのパラメータ解析と実証試験用パイロットプラントの設計・構築を行う。回収リン等の再資源化製品の流通,市場性,利活用特性等を踏まえた品質管理方策を確立し,地域分散型モデル地域での特性解析を行う。モデル地域を設定した動脈/静脈プロセス連携実証試験を開始し,評価に必要なデータの集積を図る(21年度)。
 ガス化-改質生成ガスを発電および液体燃料合成等へ活用する各種利用方式の効率とシステムの安定性,脱温暖化効果,経済性,地域自立性等の観点からシステムの総合評価を行い,他の資源化技術との連携を含めた実現可能な資源循環システムを提案する。水素/メタン発酵総合システムの性能評価および地域特性を踏まえて,種々の未利用バイオマスの発酵プロセスへの受け入れ基準を作成する。リン等回収システムのコスト比較,市場性評価,地域特性を踏まえた開発プロセスの受け入れ基準を作成し,市場流通性,費用対効果等の解析による最適地域資源循環システムを構築する。動脈/静脈プロセスモデル地域における実証展開をはかり,事業化可能性を評価する(22年度)。

今年度の研究概要

改質触媒を利用したガス化-改質における生成ガスの組成制御に関する要素技術開発を引き続き実施し,当該ガス化プロセスのスケールアップ等に関する検討を行う。さらに,ガスエンジン発電等の生成ガス利用技術を含めた総合システムについて,熱効率や環境負荷低減効果等を指標とした検討を行い,理想的なシステム運用要件等を明らかにする。昨年度提案した新規BDF製造技術における不純物の挙動を把握するとともに,新規技術の省エネルギーおよび省資源化を行う。実排水を用いてMAPのアンモニア吸着・脱着・再生実験,およびアンモニアガス再吸収実験とその後の部分亜硝酸化・ANAMMOX処理実験を実施し,MAP・ANAMMOXハイブリッド法の性能評価を行う。
 食品廃棄物の乳酸発酵については,乳酸回収性能と飼料品質向上のための原料劣化防止およびコスト評価を行うとともに,乳酸発酵技術システムを含めた食品廃棄物の地域循環システム作りを具体化する。食堂残飯をはじめとした実際の廃棄物系バイオマスの水素発酵ポテンシャルを評価するとともに,水素発酵効率の向上,下水排除基準等に適合する脱離液の処理の高度化等の技術開発を進める。リンの除去・回収特性の把握を進め適用地域条件等を考慮した適用にあたっての基盤プロセス設計を検討する。また,バイオガス回収システムにおける脱離液の高度処理プロセスへのリン回収技術の導入を図る。
 各種廃棄物系バイオマスを対象として動脈連携を前提にしたマテリアル,エネルギー回収型の各種質転換技術プロセスのインベントリーデータを整備し,関東エリアにおける地域類型ごとのシナリオ分析を行う。特に新たに開発する廃油脂の固形燃料および自動車燃料化技術については,原料の質変動,回収システム,動脈プロセスの求める品質とのマッチングなど,技術開発検討を含めて知見の集積を図る。

課題代表者

川本 克也

担当者