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廃棄物の焼却・熱処理システム評価およびモデル解析に関する研究(平成 26年度)
Study on thermal disposal system for solid wastes and modeling analysis

予算区分
AQ センター調査研究
研究課題コード
1115AQ020
開始/終了年度
2011~2015年
キーワード(日本語)
焼却施設,低炭素社会,指標,防災拠点,長寿命化,焼却シミュレータ,エネルギー回収,平衡計算,重金属
キーワード(英語)
INCINERATION FACILITY, LOW CARBON SOCIETY, INDEX, EMERGENCY OPERATION CENTER, LIFETIME PROLONGATION, INCINERATION SIMULATOR, ENERGY RECOVERY, EQUILIBRIUM CALCULATION, HEAVY METALS

研究概要

 近年、ごみ焼却施設は、公衆衛生の向上、生活環境保の保全といった目的だけでなく、3Rの推進、地球温暖化防止、省エネルギー・創エネルギー、さらには東日本大震災以降の災害対策への意識の高まりを受けて、地域の防災拠点等の多様な役割が求められている。このような役割を十分に発揮するためには、焼却施設を具体的な指標を用いて適正に評価し、必要な転換を促す政策誘導とその学術的な根拠が必要である。そこで、本研究では、このような趣旨に沿って、従来型の焼却処理を新たな焼却・熱処理システムに向けて現実的に変革するために、新たな評価指標の開発とその評価方法について提示することを目的とする。
 また、焼却施設については、欧米の重金属規制、災害廃棄物処理、水俣条約政府間交渉(UNEP重金属PG)等を背景に、重金属の挙動やその制御性に関する知見が必要になると予想され、熱処理施設内の挙動を再現できる高度なシミュレータが必要となる。そこで、本研究では、シミュレータを開発しつつ、排出される重金属の形態予測や出口を意識した制御法の提案を目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

ごみ焼却施設が、近年求められている地球温暖化防止、強靭な廃棄物処理システムの確保、施設の長寿命化といった多様な観点から、必要な性能を発揮する方向へ転換すること、一方で、環境保全上の観点から、ごみ焼却施設から排出される汚染物質に対して、より効果的な制御の技術的方法を提示すること、この目的のために2通りの研究を実施する。

1.循環型社会形成推進に向けた廃棄物焼却施設における評価指標の開発
 実際の焼却施設に関する運転データおよび熱・電気の利用などにわたる従来の調査・解析によって得られたエネルギー回収能などの指標をレビューし、改良をはかる。これによって、廃棄物焼却施設の高効率エネルギー利用を定量的に評価する基準を提示する。さらに、強靭な廃棄物処理システムの確保や施設の長寿命化の観点から、施設を評価することが可能な具体的な指標を実際の焼却施設のヒアリングやアンケート調査結果解析等を通じて抽出・提示する。


2.熱処理シミュレータの開発および熱処理施設内の挙動解析と制御
都市ごみや災害廃棄物等を熱処理する施設における重金属の挙動およびフローを明らかにするとともに、室内実験により重金属の揮発挙動を解析する。また、それらの挙動を再現するための平衡計算の適用を行い、最終的には熱処理施設全体を再現できるマルチゾーン平衡計算(焼却シミュレータ)を開発する。調査・実験結果を用いてシミュレータの精緻化を行いつつ、挙動制御のための操作条件も提案する。また、他のモデル等と融合させ、シミュレータの高度化も適宜検討する。

今年度の研究概要

サブテーマ1:循環型社会形成推進に向けた廃棄物焼却施設における評価指標の開発
エネルギー面から焼却施設を評価するために、焼却施設の計測データ等をエネルギー収支の観点から詳細な解析、整理を行い、廃棄物焼却施設のエネルギー利用(電気、熱として)を評価することができる指標の選定、改良とそれに関連する課題を抽出する。さらに、実際の焼却施設においてヒアリング及びアンケート調査を行うことにより、強靭な廃棄物処理システムの確保や施設の長寿命化の観点から、施設を評価することが可能な具体的な指標を選定するとともに、指標の算出に必要な焼却施設の基礎情報の整理を行う。

サブテーマ2:熱処理シミュレータの開発および熱処理施設内の挙動解析と制御
昨年度に引き続き、焼却施設の焼却主灰と飛灰の重金属組成を明らかにして焼却炉内の重金属フローを整理しつつ、マルチゾーン熱力学平衡計算で必要不可欠な重金属類の熱力学パラメータの整備を行う。また、マルチゾーン平衡計算をストーカ炉に加えてキルン炉へ適用するとともに、キルン炉を用いたベンチ燃焼試験により平衡計算の適用性を評価し、試験結果を再現するように計算法を修正する。さらに、実機での重金属類の制御性について提示し、実灰の分析からその妥当性を評価する。

外部との連携

共同研究機関:埼玉県環境科学国際センター

課題代表者

倉持 秀敏

  • 資源循環領域
  • 副領域長
  • 博士(工学)
  • 化学工学,化学,工学
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担当者