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ヒ素曝露後に持続する細胞老化を除去するためのターゲット分子探索(令和 5年度)
Search for molecular targets to eliminate senescent cells induced by arsenic exposure

研究課題コード
2326CD003
開始/終了年度
2023~2026年
キーワード(日本語)
細胞老化,ヒ素,セノリシス,遺伝子発現,リン酸化
キーワード(英語)
premature senescence,arsenic,senolysis,gene expression,phosphorylation

研究概要

慢性ヒ素中毒による発癌は、ヒ素曝露を中止した後も長期の潜伏期間を経て発症するが、メカニズムは未解明である。これまでに、ヒ素曝露による細胞老化は、ヒ素曝露中止後も形質を維持し続け、癌の発症に関与する可能性を明らかにした。老化細胞のみの生存率を低下させるなど、ヒ素曝露中止後も維持される老化細胞を正常細胞に危害を与えることなく除ければ、ヒ素による発癌を予防出来る可能性がある。本研究では、ヒ素曝露により誘導された老化細胞が曝露中止後もその形質を維持するために必要な分子ターゲットを明らかにする。さらにそれらターゲット分子に対する阻害剤添加等を行い、ヒ素曝露中止後も維持される老化細胞のみの生存率を低下させるかどうかを検討する。この研究により、ヒ素曝露によって誘導される老化細胞を選択的に除去するための礎を築き、老化細胞が関わるヒ素による発癌の発症予防、治療法開発に貢献しうる情報を提供する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究では、正常細胞と老化細胞を比較し、ヒ素曝露により誘導された老化細胞が示す特徴的な形質を理解し、老化細胞を選択的に除去するための分子ターゲットを明らかにすることを目指す。具体的なターゲットとしては、制御可能な遺伝子発現、タンパク質のリン酸化等に着目する。これにより慢性ヒ素中毒による発癌の予防・治療法開発のための礎を築く。

今年度の研究概要

これまでにヒ素曝露によって細胞老化が誘導され、曝露中止後も形質が維持される事を明らかにしたヒト由来肝星細胞株LX-2およびヒト由来肝細胞Huh-7を用いる。予備検討により細胞老化が誘導される条件を用いて、ヒ素を曝露後、ヒ素非存在下において培養を行った細胞を用いる。対照群(正常細胞)はヒ素を曝露せずに培養を行った細胞を用いる。培養後の細胞からRNA を抽出し、次世代シーケンサーを用いてRNA-seq を行う。解析結果から発現が増加する遺伝子と減少する遺伝子を抽出する。

関連する研究課題

課題代表者

岡村 和幸

  • 環境リスク・健康領域
    病態分子解析研究室
  • 主任研究員
  • 博士(環境学)
  • 生化学,理学 ,医学
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