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マイクロプラスチックの水及び底質経由の曝露による海洋生物への影響評価 (令和 5年度)
Assessment of effects on marine organisms exposed to microplastics via water and sediment

研究課題コード
2325BE002
開始/終了年度
2023~2025年
キーワード(日本語)
マイクロプラスチック,生態毒性試験,マイクロファイバー,種の感受性分布,海産生物
キーワード(英語)
microplastic,ecotoxicity test,microfiber,species sensiticity distribution,marine organisms

研究概要

本研究課題では、共通の破片状・繊維状MPを用いて多様な海洋生物に対して水・餌・底質曝露試験を行い、試験法の開発、毒性データの提出、そして種の感受性分布の推定を目指す。
試験物質として、PEもしくはPSの破片状MPならびにポリエステル繊維について、破砕や紫外線などにより劣化させ、それぞれ環境中から検出されるものと形状やサイズが類似した共通標準試料を作製する。その後、水生生物についてはナノ粒子のOECD試験法ガイダンスを参考にして当該MP試料の懸濁液を作製し、その沈降・浮上などの懸濁状態や取り込みなどの動態・曝露に留意して各生物を用いた影響試験を実施する。実施する試験は、先に作成された「海産・汽水生物を用いた慢性毒性短期試験法」を参考に、魚類はジャワメダカ、マミチョグ、マダイの胚・仔魚、甲殻類はカイアシ、アミ、ヨコエビ、軟体動物はマガキやホヤ、棘皮動物はウニ、大型藻類はアオサ、そして微細藻類は珪藻(付着性含む)、藍藻、緑藻を用いて試験を実施して(亜)慢性毒性試験を行う。なお、生残に加えて、個体群の維持との関連性が深い成長、成熟・変態などを主なエンドポイントとするが、ジャワメダカやヨコエビなどの一部については、体内の取り込み・動態の確認ならびに、慢性影響評価のために消化管内への影響や各種分子レベルでの評価、行動など当該MPの毒性作用機構や長期影響の解明を目指す。また、海洋底質生態系において重要な役割を担うヨコエビ、多毛類(ゴカイ)、および貧毛類(ミミズ)について、底質から混合曝露する手法を検討して、生残・成長をエンドポイントとした亜慢性試験を行う。以上、共通標準試料で得られた試験結果を取りまとめ、5〜8種以上について毒性結果が得られた試料については有害性評価値の算出を行い、各種モニタリング結果と比較してリスク評価を行う。現在、環境省海洋プラスチック室などで実施するMPの生態リスク評価を支援・推進し、国際的に発信することで、種の感受性分布(SSD)に基づくリスク評価や国際的な海洋プラスチック対策を先導することが期待される。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

・サブテーマ1で作製したMP共通標準試料(破片状および繊維状)について、OECDで最近公表されたナノ材料の水生・底生生物試験のためのガイダンスを参考にして、懸濁液や標準底質へのスパイク条件、および試験期間中の適切な曝露条件維持の最適化を行う。
・上記の試料について、先の環境研究総合推進費で作成した「海産・汽水生物を用いた慢性毒性短期試験法(検討案)(2021年3月)」を参考に微細藻類(ラン藻、珪藻、緑藻)の生長阻害試験、カイアシを用いたふ化・変態試験、アミを用いた成長・成熟試験を行うほか、底生生物については、海産ヨコエビについて水のみでの試験を実施する。
・水のみで実施した条件を参考に、海産ヨコエビに加え、サブテーマ3と共同で環形動物(多毛類のゴカイおよび貧毛類のミミズ)を用いて、底質へスパイクした試料で生残だけでなく成長をエンドポイントとした(亜)慢性毒性試験を行う。
・ヨコエビについては、遺伝子発現解析や分子マーカーの解析をおこない、作用メカニズム解明を目指す。

今年度の研究概要

・サブテーマ1から提供された繊維状・破片状などの研究課題共通MP試料について、各海産生物の培地や飼育水など試験時の懸濁・曝露状態について予備検討した後、微細藻類、大型藻類、甲殻類について順次、(亜)慢性毒性試験を実施する。底生生物については、底質とMPとの混合条件を検討し、適切に曝露可能な条件検討を行い、ヨコエビや多毛類(ゴカイ)を用いて予備試験を開始する。

外部との連携

研究代表者:大嶋雄治(九州大学)
サブテーマ1:大嶋雄治、島崎洋平、姜益俊、鶴田幸成(九州大学)、村田里美(土木研究所)、岩崎雄一(産業技術総合研究所)、磯野良介(海洋生物環境研究所)
サブテーマ2:国立環境研究所
サブテーマ3:大久保信幸、河野久美子、羽野健志、隠塚俊満、伊藤真奈(水産研究・教育機構・水産技術研究所)

関連する研究課題

課題代表者

山本 裕史

  • 環境リスク・健康領域
  • 領域長
  • Ph.D.
  • 化学,生物学,土木工学
portrait

担当者