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2019年7月11日

一般廃棄物処理施設の集約化・広域化に向けた
検討候補ブロックを地図化(お知らせ)

(筑波研究学園都市記者会、環境記者会、環境省記者クラブ同時配付)

令和元年7月11日(木)
国立研究開発法人 国立環境研究所
資源循環・廃棄物研究センター
 室長     田崎 智宏
 主任研究員  稲葉 陸太
 主任研究員  河井 紘輔
 

   国立環境研究所の研究グループは、都道府県、市町村が行う一般廃棄物処理施設の集約化・広域化に向けた検討のために、施設集約検討ブロック(複数の一般廃棄物処理施設が更新を迎える地域)を地図化した情報を公表しました。

1.背景

   今後の人口減少や市町村の財政状況の厳しさが進展するなかで、老朽化した廃棄物処理施設が増加することや、各地における廃棄物処理が非効率化することなどが懸念されています。環境省は、このような状況に鑑み、平成31年3月29日に「持続可能な適正処理の確保に向けたごみ処理の広域化及びごみ処理施設の集約化について」(環循適発第1903293号)の通知を発出し、一般廃棄物処理施設の集約化と処理の広域化の必要性を改めて提起したところです。今回の通知は、平成9年5月28日の通知「ごみ処理の広域化計画について」(衛環173号)以来の約20年ぶりの通知であり、焼却施設だけでなく、資源化施設を含む全ての種類の施設の集約を促す内容となっています。また、各都道府県に対して2021年度末を目途に10年間の広域化・集約化計画の策定を目指すこととしています。

2.地図化の目的と結果

   広域化・集約化は、ごみ処理事業の費用削減や環境負荷の低減などの効果があると期待されつつも、施設立地において周辺住民等の関係者からの理解を得られない場合もあるため、地域では十分な議論が求められます。また、施設集約を行うにしても、関係する複数の自治体が従来の体制を超えて議論していかなければなりません。そのため、施設集約の検討においては、十分な時間を確保して議論をしていくことが重要です。
   そこで、各都道府県で策定されたごみ処理広域化計画における広域化ブロックのうち、複数の一般廃棄物処理施設が同時期に更新を迎えるブロックを「施設集約検討ブロック」と定義し、焼却施設及び粗大ごみ処理施設を対象に、2020年度と2030年度の施設集約検討ブロックを地図上に図示化して、各都道府県や市町村が広域化・集約化の検討を行う際に参考となる情報を作成しました。これにより、都道府県や市町村が施設集約の検討を行うべき地域が一目で把握できます。地図化した例を下図に示します。

   詳細は、こちらの報告書のページをご覧ください。
   http://www-cycle.nies.go.jp/jp/report/mapdata.html

2030年度における一般廃棄物焼却施設の集約検討ブロックの地図化例(南関東地方)
2030年度における一般廃棄物焼却施設の集約検討ブロックの地図化例(中国地方)
図 2030年度における一般廃棄物焼却施設の集約検討ブロックの地図化例
(上が南関東地方、下が中国地方)
(網掛け地域が施設集約検討ブロック、点が焼却施設をそれぞれ示す)

   なお、本検討は、国立環境研究所の資源循環研究プログラムにおける研究プロジェクト「維持可能な循環型社会への転換方策の提案」(2016~2020年度)(https://www.nies.go.jp/subjects/2018/24296_fy2018.html)ならびに独立行政法人環境再生保全機構の環境研究総合推進費(1-1601)「循環型社会政策の効果評価と導入支援のための資源利用・廃棄物処理モデルの構築」(2016~2018年度)のもとで実施しました。

3.今後の展望

   施設集約の実現可能性を検討するにあたり、施設間距離等の施設集約の親和性に関する分析を今後の課題としています。また、施設を集約化する・しないに関わらず、将来の人口減少やリサイクルの進展などによるごみ減量をふまえて適正な規模の施設を設置していくことが非常に重要であり、必要施設規模にかかる分析も進めています。

4.問い合わせ先

国立研究開発法人国立環境研究所
資源循環・廃棄物研究センター 循環型社会システム研究室
田崎 智宏(たさき ともひろ)
   電話:029-850-2988
   e-mail: tasaki.tomohiro(末尾に@nies.go.jpをつけてください)

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