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2005年11月2日

魚の棲みやすい川を考える

魚類生息地ポテンシャルマップ

 霞ヶ浦に釣りに行きました。トンボの止まった釣ざお越しに景色を眺めつつ、考えています。 「どこに魚はいるのだろう?」「最近増えたのかな?減ったのかな?」「自然再生とか聞くけれど、効果はあるのかな?」・・・
 水辺の自然環境がどれくらい健全なのか?悪くなっている場所はどこか?また、どれくらい改善されているのか?このような流域環境の特徴と変化を「水生生物の棲みやすさ」をもとに評価するのが私たちの仕事です。
 例えば、最近少なくなったと言われる「メダカ」が棲む川のためには何が重要でしょう?この場合一般に、水温・水質・水の濁り・水中の酸素・流れの速さ・流域の中の位置・下流ダムの有無などを考える必要があります。これらの項目を使い、メダカの棲みやすさ(生息地ポテンシャル)を計算することが出来ます。
 ポテンシャルは調査地点ごとに求められるので、このポイント数を増やして範囲を広げれば、日本全国のメダカの生息地予測地図を作ることもできます。
 また,他の淡水魚類にこのモデルを応用することも可能です。現在我々のモデルで解析できる魚の種類は国内約580,地点数は約9,000です。計算に使う各調査地点の情報は過去数十年分整理されていますし、毎年更新可能です。そのため、過去から現在までの魚の棲みやすさの変化を比較することや、一年ごとの変化をチェックすることも出来るようになりました。
 まだ研究は続いていますが、1970~2002年の状態を比較した結果、次のことが分かってきました。
 水質等については、下水処理施設などの整備が進み改善された地域がある反面、逆に悪化した地域も見られます。またダムなどで海と分断化されてしまった地域も増えてきました。これらの多様な変化を受け、淡水魚類はある場所では生活しづらくなっています。少しずつ環境が改善された河川もあります。
 我々の研究成果は良い環境を持つ川づくりの一つのステップであり、最終目的ではありません。大切なことは、未来にどのような川を残すべきなのか、地域の人々がしっかりと思い描き、適切な行動を起こすことではないでしょうか。

つくば市と霞ヶ浦周辺の拡大図

【流域圏環境管理研究プロジェクト 流域環境管理研究チーム 主任研究員 亀山 哲】