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2023年2月28日

日韓中三カ国の環境研究の協力:
「第19回日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM19)」の開催報告

行事報告

企画部国際室

 国立環境研究所(NIES)は、韓国の国立環境科学院(NIER)及び中国環境科学研究院(CRAES)と協力して「日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM)」を2004年より毎年開催しており、三機関の新たな協力の姿の議論を行っています。19回目を迎えた本会合は今年もオンライン形式で11月24日(木)に開催され、NIESの木本昌秀理事長、NIERのKIM Dong Jin院長、CRAESの李海生(LI Haisheng)院長が集いました。

 午前中は「新技術に基づいた大気観測と発生源の推定」をテーマにしたワークショップが行われ、NIESからは寺尾有希夫主任研究員より都市における温室効果ガス測定と排出源について、大山博史主任研究員より首都圏におけるCO2排出量推定についての発表が行われました。各機関の研究者と活発な議論が交わされ、今後の協力の可能性についても提案されました。

 続いて午後から行われた本会議では、李院長より今年が日中国交正常化50周年、中韓国交樹立30周年という記念の年にあたることが述べられ、共に力を携えて北東アジアの環境問題に貢献するよう呼びかけました。木本理事長はそれに応えて中国と日本の二国間の環境分野における協力を振り返るとともに、CRAES、NIERとの過去の共同研究の歩みについて紹介しました。また、エジプトで開催されたCOP27に触れながら「環境問題に国境はない」という理念の下、国際社会の場で三機関がさらに協力することを希望しました。李院長はその理念に強く共感すると同時に、かつてNIESとCRAESが協力して実施した太湖水環境に関する研究を例にあげ、NIESのこれまでの功績をたたえました。

写真1 会議中の様子
写真1 会議中の様子
写真2 署名を終えた三機関長
写真2 署名を終えた三機関長(上段左:李院長(CRAES)、上段右:木本理事長(NIES)、下段:KIM院長(NIER))

 本年は特別セッションとして気候変動に関する三機関の比較結果が報告され、NIESからは緩和策について増井利彦領域長より発表を行いました。気候変動は三機関共通の関心領域であり、大気汚染物質及び二酸化炭素の排出削減に向けてこれらの研究成果を共有し、TPMで一層の研究協力を進めることで意見が一致しました。さらに例年行われている三機関の共同研究の可能性を探る潜在的協力研究分野(PRA)の4分野(大気、水、気候変動、環境保健)の報告を通して各機関の担当者同士の情報交換を行い、今後の協力推進の道筋を話し合うことができました。今回のTPMよりPRAの活動をさらに活性化するため各分野の代表機関を3年毎に交代していくことで合意され、気候変動分野、環境保健分野は今後3年間NIESが代表となって三機関をリードしていくことになりました。三機関長のディスカッションにおいては各PRAの展望について意見交換を行い、三機関に共通する課題について研究者同士がより一層交流を深め、共同で発表を行えるような協力体制について語り合いました。

写真3 NIES参加者集合写真
NIES参加者集合写真

 コロナ禍を経て3年続けてオンライン開催となったTPMですが、来年はNIES主催で日本での現地開催に向けて準備を進めていく予定です。

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