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2019年12月24日

三カ国の環境研究機関の発展的協力に向けて:
「第16回日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM16)」の開催報告

【行事報告】

芦名 秀一

国際ワークショップ参加者集合写真
写真1 国際ワークショップ参加者集合写真(CRAES提供)

 国立環境研究所(NIES)は、韓国の国立環境科学院(NIER)及び中国環境科学研究院(CRAES)と共に「日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM)」を2004年から毎年開催しており、北東アジア地域をはじめとした様々な環境問題の解決に向けた研究協力の推進と、新たな協力の姿の議論を行っています。本年度は、10月28日(月)から11月1日(金)にかけて、中国・杭州市にてCRAESが主催し、NIESとNIERが共催する形で第16回のTPM(TPM16)を開催しました。

 30日の本会議に先立ち、29日には、国際ワークショップ「北東アジアの長距離大気汚染」を開催しました。ワークショップでは、TPMメンバーを中心に、北京大学や清華大学の研究者も交えながら、北東アジアの大気汚染のモニタリングや、排出インベントリの作成、大気質のモデル分析に関する最新知見の紹介とそれに基づく活発な議論が行われました。NIESからは、地域環境研究センターの高見昭憲センター長、永島達也主任研究員、及び茶谷聡主任研究員が参加し、研究成果等の発表と議論を行いました。

 翌日のTPM16本会議では、CRAESの李海生(Li Haisheng)院長の開会挨拶後、NIESの渡辺知保理事長及びNIERのChang Yoon Seok院長が開会にあたっての講演を行いました。機関長らは、環境研究分野における三機関間協力の着実な進展やTPM下での共同研究等の協力関係の強化に言及するとともに、友好関係継続への期待を示しました。加えて、渡辺理事長からは、2018年12月に設立した気候変動適応センターの紹介や、2019年9月に開催した国際アドバイザリボード会合について紹介し、今後の研究展開への期待を示しました。引き続いての各機関のTPM15以降の研究活動の概況報告では、NIESからは昨年度に成功裏に打ち上げられたGOSAT-2や気候変動適応研究などについて具体的な活動と成果の報告を行いました。

三機関長の写真
写真2 共同声明を披露する三機関長(左から渡辺理事長、李院長、Chang院長)
参加者集合写真
写真3 本会議後の参加者集合写真

 本年度の会合では、昨年度のTPM15も踏まえて、日韓中の環境研究機関の協力のためのプラットフォームであるTPMをさらに発展させていくために、三機関の共同研究についての議論が行われました。三機関の具体的な共同研究の可能性を有する分野である潜在協力研究分野(Potential Research Area)から、大気、水、及び環境健康の3分野について、担当研究者からの具体的な共同研究提案をもとに機関長及び各機関の担当研究者での議論を実施し、TPM下での共同研究と位置づけて実施することで合意されました。また、気候変動分野については、共同研究立案に向けた議論の進捗が報告され、次年度以降の具体化に向けた協議を継続することが確認されました。その後、これらの発表や議論を踏まえた共同声明へ李院長、渡辺理事長、及びChang院長が署名しました。

 本会議翌日の10月31日には、安吉余村等を訪問し、中国における持続可能社会構築に関する取組の現状を視察するとともに、質疑応答を含めた交流を行いました。

 次回のTPM17は、2020年に日本においてNIES主催で開催される予定です。


(あしな しゅういち、企画部国際室)

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