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2016年2月29日

「第12回日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM12)」の開催

【行事報告】

近藤 美則

 国立環境研究所(NIES)は、韓国国立環境科学院(NIER)および中国環境科学研究院(CRAES)と共に「日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM)」を2004 年から毎年開催しており、東アジア地域の様々な環境問題の解決に向けた研究協力を推進しています。第12 回となる今回(TPM12)は、平成27 年11 月2~5 日に韓国麗水市および順天市において、NIER の主催、CRAES とNIES の共催として開催されました。

 初日の午後、参加者が一堂に集まり、麗水市のGS カルテックス、麗水国家産業団地を視察しました。

 2 日目のTPM12 本会議では、NIER の朴辰遠(PARK Jinwon)院長の開会挨拶後、CRAES の孟伟(MENG Wei)院長とNIES の住明正理事長が基調講演を行いました。機関長らはこれまでの研究協力を高く評価すると共に、今後より密接な交流・協力の推進が重要であると述べました。また、住理事長は東日本大震災後のNIES の研究展開や福島支部設立を含めた今後の災害環境研究の推進、研究者と社会との対話の必要性についても紹介しました。次に、各機関のTPM11 以降の研究活動の概況が報告され、原澤理事はNIES の各センターや各研究プログラム、国際アドバイザリーボード会合の結果等を紹介しました。その後、気候変動研究に関するトピックを3 機関が発表しました。NIER は気候変動に関する研究の状況と見通し、CRAES は二つのカーボン~CRAES におけるブラックカーボンとローカーボンに関する研究の進捗~、NIES からは統合評価モデリング研究室の高橋主任研究員が、地球温暖化リスク管理戦略~ICA-RUS プロジェクト中間報告書~(https://www.nies.go.jp/media_kit/2015/2.7.pdf)について紹介しました。

三カ国の環境研究機関長

 午後からは、NIER の研究戦略企画室の姜泌求(KANG Philgoo)研究員がワーキンググループを代表して、9つの重点研究分野(PRA)と研究のキーワードを紹介し、その後、各PRA をリードする主担当機関(LCI)がTPM11 以降の研究活動を報告しました。具体的には、CRAES が淡水汚染、都市環境・エコシティ、化学物質リスク管理について、NIER がアジア大気汚染、砂塵嵐(黄砂)と固形廃棄物管理について、NIES からは生態遺伝情報解析研究室の大沼主任研究員が生物多様性、統合評価モデリング研究室の増井室長が気候変動、総合影響評価研究室の中山室長が災害環境について、3 機関が参加した共同ワークショップや研究協力について発表しました。その後、3 機関の活動をより進めることを目指して、2015 年から19 年までの5 年間を対象としたロードマップの作成について議論を行い、今後も意見交換を続け、PRA の進展に向けたヴィジョンを示すものとすることで原則合意しました。また、次の1 年間の各PRA のLCI は変化なしとも決まりました。翌4 日に、TPM の枠組みによる3 機関の協力推進を謳った共同コミュニケが纏められ、住理事長と朴院長、孟院長が署名しました。

TPM12 参加者(3 日目の共同コミュニケ署名後)


 3日目には、アジア大気汚染に関する国際ワークショップ「International workshop on“Asian Air Pollution”」が開催されました。これにはTPM のメンバーの他、米国、フランスからも発表者を招聘し、活発な議論を行いました。NIES からは、大原フェローが日本における大気汚染と規制の関係や排出インベントリ等を含む研究、地域環境研究センターの高見副センター長が日本や東アジアの大気の状況と汚染物質のモニタリングネットワーク等に関わる研究、同センターの菅田主任研究員がPM2.5を含む大気汚染予測システムVENUS の開発等の研究の成果を発表し、パネルディスカッションにおいても参加者との間で活発な討議がなされました。また、このTPM12 参加機会を捉えて時間を作り、各PRA の担当者間で、今後の協力に関して活発に意見交換を行いました。4 日目は順天市に移動してラムサール条約湿地を含む順天湾自然生態公園を視察し、生態系保全に関する長期的な修復活動について説明を受けました。また、現地説明者と質疑応答を含めた交流を行いました。

 東アジアで政治的緊張が続く中、TPM では終始友好的な雰囲気のもとで真摯な議論と将来の協力が話し合われました。次回のTPM13 は、2016 年秋に中国・昆明においてCRAES 主催で開催される予定です。

 なお、本会合の詳細については、国立環境研究所ホームページに掲載しております。
http://www.nies.go.jp/event/2015/20151118/20151118.html

(こんどう よしのり、企画部 国際室長)

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