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2019年4月4日

人口分布と環境-コンパクトなまちづくり-

環境儀 No.71

研究者の写真

 産業革命以降、密集した住まい方は、大気汚染などの健康被害の原因であるとされました。時代は変わり大気汚染が改善されてくると、今度は、分散した住まい方はエネルギー消費や温室効果ガスの排出が多く、非効率であると言われるようになりました。そこで登場したのが、『コンパクトシティ』の概念です。さらに近年では、環境面に加え、人口減少下でも高齢者が歩いて暮らせることやまちの拠点を残すことの必要性も指摘され、この概念はますます重要になっています。

 国立環境研究所では、2011年度から『環境都市システム研究プログラム』、2016年度からは『統合研究プログラム』のなかで、「持続可能な都市・地域発展シナリオの構築と評価」に関する研究を行っています。この研究では、人口分布を中心としたまちの構造の変化の要因を分析して、将来実現可能な複数のまちの構造のシナリオを作り、さまざまな環境負荷や環境影響の観点から評価しています。これにより、将来の望ましいまちのあり方を明らかにして、市町村の計画づくりに役立ててもらうことを目指しています。

 人々が集まって住むと、徒歩や自転車、そして公共交通などの環境にやさしい交通の利用が増えます。逆に、分散して住むと、自動車の利用が増える傾向がみられます。これまで、「集まって住むことでどれくらい乗用車の二酸化炭素排出量が減るのか」は定量的にはわかりませんでした。本号では、これを定量的に試算した結果を紹介します。

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