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2021年12月21日

新規POPs含有プラスチック廃棄物に関する
国際セミナーの実施について(報告)

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)

2021年12月21日(火)
国立研究開発法人国立環境研究所
資源循環領域 試験評価・適正管理研究室
 主幹研究員      梶原 夏子
資源循環・廃棄物研究国際支援オフィス
 オフィスマネージャー 石垣 智基
 係員         野上 里紗子
 

   国立環境研究所(以下、「国環研」という)は、残留性有機汚染物質(POPs)含有廃棄物の適正管理に向けた国際的な分析技術基盤強化のためのプロジェクトの一環として、国内外の学識経験者や行政担当者を対象とした国際セミナーを令和3(2021)年12月3日(金)にオンライン形式で開催しました。本セミナーでは、POPsに関するストックホルム条約の規制対象物質のうち、プラスチック添加剤である臭素系難燃剤および塩素化パラフィンについて取り上げ、これら新規POPsを含有する製品や廃棄物の特定、ならびに再資源化の実態や課題について相互理解を深めました。また、新規POPs含有廃棄物の適正管理に向けて各国の関係者が引き続き尽力するとともに、分析技術基盤の脆弱な国々との連携および技術支援を進めていく必要性が共有されました。

1.開催概要

日程  :令和3(2021)年12月3日(金)
開催方法:オンライン形式

2.出席者・参加国

 イギリス、イタリア、インド、インドネシア、オランダ、カメルーン、シンガポール、タイ、ドイツ、ナイジェリア、ブラジル、ベルギー、ミャンマー、台湾、日本の学識経験者、行政担当者等 計15か国より計42名が視聴参加

3.報告概要と今後の展望

 国環研は、POPs含有廃棄物の適正処理に関する行政ニーズを受け、2019年度より3年間の計画で環境研究総合推進費研究課題「新規POPs含有プラスチック廃棄物の環境上適正な管理に向けた国際的な分析技術基盤の整備」(課題番号:JPMEERF20193001)に研究代表機関として取組んでいます(研究分担機関:千葉大学、いであ株式会社環境創造研究所)。その一環として、分析上の課題の解決や途上国・新興国への導入も念頭においたPOPs含有プラスチック廃棄物の検定方法の検討・標準化を推進することを目指し、各国で共通して発生するプラスチック廃棄物試料を用いた国際相互検定を実施してきました。また、プラスチック添加剤系POPsを含有する製品の処理や再資源化の実態調査も行っています。

 本セミナーでは、本推進費研究課題の成果を報告するとともに、イギリス、インド、オランダ、ドイツ、ベルギーの研究者が最新の成果を発表しました。セミナーは3つのセッションに分けて進められ、最初に臭素系難燃剤に関する講演3題、続いて塩素化パラフィンに関する講演3題、最後にパネルディスカッションを行いました。臭素系難燃剤のセッションでは、電気電子機器廃棄物のリサイクルに伴うPOPsの挙動や代替難燃剤を含む調査結果が紹介されました。塩素化パラフィンのセッションでは、既にPOPs条約の対象となっている短鎖塩素化パラフィンに加え、条約候補物質である中鎖塩素化パラフィンや近年生産量の増えている長鎖塩素化パラフィンについて分析法の詳細や課題、日本や欧州市場における製品中含有実態について最新の知見が報告されました。

 パネルディスカッションでは、POPs含有廃棄物管理に関する各国の課題や今後取り組むべき研究内容について活発な意見交換が行われ、使用済みプラスチックの循環利用に伴うPOPsの非意図的混入や代替難燃剤の評価、途上国の実態調査の必要性、新たな懸念物質の分析上の課題について相互理解を深めました。また、新規POPs含有廃棄物の適正管理に向けて各国の関係者が引き続き尽力するとともに、分析技術基盤の脆弱な国々との連携および技術支援を進めていく必要性が共有されました。

 今後も国環研は有害化学物質の管理や環境汚染改善に資する研究を行う研究機関として、持続可能なプラスチック資源の有効利用と化学物質管理の両立を目指したPOPs含有廃棄物の適正管理の推進や技術支援に引き続き貢献していきます。

POPs条約の概要や各国の取り組み、個別研究についての発表の様子の画像
POPs条約の概要や各国の取り組み、個別研究についての発表の様子


パネルディスカッションの様子の画像
パネルディスカッションの様子

【関連する学術論文】

松神秀徳、梶原夏子、倉持秀敏(2020)液体クロマトグラフィータンデム質量分析法によるプラスチック廃棄物中短鎖塩素化パラフィンの同族体分析.環境と測定技術47, 6–11

Brandsma S.H., Brits M., Groenewoud Q.R., van Velzen M.J.M., Leonards P.E.G., de Boer J. (2019) Chlorinated paraffins in car tires recycled to rubber granulates and playground tiles. Environmental Science & Technology 53, 7595–7603

Brandsma S.H., Brits M., de Boer J., Leonards P.E.G. (2021) Chlorinated paraffins and tris (1-chloro-2-propyl) phosphate in spray polyurethane foams – A source for indoor exposure? Journal of Hazardous Materials 416, 125758

Eguchi A., Matsukami H., Takahashi A., Kajiwara N. (2021) Simultaneous determination of polybrominated diphenyl ethers and hexabromocyclododecane in plastic waste by short-column gas-chromatography-quadrupole mass spectrometry and electron capture detector. Chemosphere 277,30301

Kajiwara N., Matsukami H., Malarvannan G., Chakraborty P., Covaci A., Takigami H. Recycling plastics containing decabromodiphenyl ether into new consumer products including children’s toys purchased in Japan and seventeen other countries. Chemosphere 289, 133179

Matsukami H., Takemori H., Takasuga T., Kuramochi H., Kajiwara N. (2020) Liquid chromatography-electrospray ionization-tandem mass spectrometry for the determination of short-chain chlorinated paraffins in mixed plastic wastes. Chemosphere 244, 125531

McGrath T.J., Poma G., Matsukami H., Malarvannan G., Kajiwara N., Covaci A. (2021) Short- and medium-chain chlorinated paraffins in polyvinylchloride and rubber consumer products and toys purchased on the Belgian market. International Journal of EnvironmentalResearch and Public Health 18, 1069

Stubbings W.A., Abdallah M.A.-E., Misiuta K., Onwuamaegbu U., Holland J., Smith L., Parkinson C., McKinlay R., Harrad S. (2021) Assessment of brominated flame retardants in a small mixed waste electronic and electrical equipment (WEEE) plastic recycling stream in the UK. Science of The Total Environment 780, 146543

Yago G., Capella R., Kajiwara N., Babayemi J.O., Torres, J.P.M., Weber R. (2022) Inventory approach for short-chain chlorinated paraffins for the Stockholm Convention implementation in Brazil. Chemosphere 287, 132344

【問い合わせ先】

<研究に関する問い合わせ>
国立研究開発法人 国立環境研究所 資源循環領域
試験評価・適正管理研究室
主幹研究員 梶原 夏子

資源循環・廃棄物研究国際支援オフィス
オフィスマネージャー 石垣 智基
係員 野上 里紗子
高度技能専門員 稲場 香絵

<報道に関する問い合わせ>
国立研究開発法人国立環境研究所 企画部広報室
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