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2023年10月25日

国環研ロゴ
つくば地域初の自然共生サイト 
国立環境研究所とつくばこどもの森保育園が認定に

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)

2023年10月25日(水)
国立研究開発法人国立環境研究所
社会福祉法人花畑福祉会つくばこどもの森保育園

 国立環境研究所(茨城県つくば市小野川)とつくばこどもの森保育園(茨城県つくば市沼崎)は、環境省の新たな取り組み「自然共生サイト※1」に申請し、2023年10月25日に、つくば地域で最初の認定地となりました。  自然共生サイトは、環境省が「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を保護地域の内外問わず認定するもので、2023年度から開始された制度です。自然共生サイトは、「2030年までに地球上の陸と海の30%以上を保全する」という国際目標「30by30(サーティ・バイ・サーティ)※2」の達成に貢献するもので、認定区域のうち保護地域※3との重複を除いた範囲は、OECM(オーイーシーエム)※4の国際データベースに登録されます。自然共生サイトの特徴は、広大な原生自然だけでなく、公園や事業所緑地などの身近な自然も認定対象となっていることです。
 国立環境研究所では、「つくば生きもの緑地 in 国立環境研究所」と名付けた構内の植生保全優先区域5.1ヘクタールが、つくばこどもの森保育園では、原体験を通じた環境教育の場として樹木医等の専門家と共に多様な生き物の住処を維持管理する園庭ビオトープ0.22ヘクタールが認定されました(「自然共生サイト申請資料」 参照)。
 

国立環境研究所 生物多様性領域 石濱史子主幹研究員 コメント

写真1

 今回の認定にあたって特に評価されたのは、国立環境研究所が呼びかける「つくば生きもの緑地ネットワーク※5」の活動です。筑波研究学園都市にある研究機関などの敷地内には、古くから人間の働きかけを受けて成立してきた「里地・里山」の自然が残り、野生の植物やさまざまな昆虫・鳥などの生活の場ともなっています。私たちは、生物多様性を支えるこうした緑地を将来に残していくために、つくば生きもの緑地 in 国立環境研究所に続く自然共生サイト認定の動きを広げ、人と自然の繋がりを取り戻す取り組みを促進していきます。

つくばこどもの森保育園 古谷野好栄園長 コメント

写真2

 今回の認定では、つくば市が管理している樹林「豊里ゆかりの森」(敷地面積12ヘクタール)との有機的な繋がりを基に多様な生き物が暮らす豊かな園庭ビオトープを専門家と共に維持管理している点や、園児・保護者等の原体験活動を通じて自然や人への思いやりの気持ちを育む教育システムが評価されました。つくば市は、緑地減少が懸念されていますが、今後も人と自然が上手に共生できる考え方や仕組みを醸成できるよう、地域の関係者有志と連携し、子ども達の未来に繋がる持続的な活動をしていきたいと思います。

今後の展望

今後、国立環境研究所とつくばこどもの森保育園は、環境研究機関と幼児教育・保育の専門家というそれぞれの強みを活かし、生物多様性とその恵みを、次世代に伝えていく取り組みを連携しながら進めて行きます。
現在、つくば市でも「生物多様性地域戦略」の策定が進められており、国立環境研究所の石濱主幹研究員は策定懇話会に委員として参画しています。2024年度末の策定を目指す生物多様性地域戦略は、第3次つくば市環境基本計画の重要施策の一つとして位置づけられています。
以上のように、つくば地域では生物多様性の保全に向けた取り組みが加速しています。国立環境研究所とつくばこどもの森保育園が好適な先行事例となることで、新たな自然共生サイトの申請に繋がり、地域全体で生物多様性の保全の動きがさらに高まることを期待しています。

注釈

※1
自然共生サイト(環境省)
https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/kyousei/ (外部サイトに接続します)

※2
30by30(サーティ・バイ・サーティ)
2030年までに地球上の陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全するという国際目標。2022年12月に行われた生物多様性条約第15回締約国会議において、昆明・モントリオール生物多様性枠組の目標の一つとして採択された。生物多様性の喪失を食い止めるとともに、気候変動などの社会課題の解決に貢献することが期待されている。

※3
保護地域
生物多様性の保全を主な目的として、法などにより指定された区域。日本では、国立公園、国定公園、都道府県立自然公園、生息地等保護区、鳥獣保護区などが該当する。

※4
OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)
保護地域以外の地域で、事業者、民間団体・個人、地方公共団体による様々な取組によって、生物多様性の保全が図られている区域を指す。

※5
つくば生きもの緑地ネットワーク
https://www.nies.go.jp/biology/greenareas.html
つくば地域の研究機関等にある緑地とその保全活動の輪をつなぐ、人と生きもののネットワーク。

問合せ先

【報道に関する問合せ】
 国立研究開発法人国立環境研究所 企画部広報室
 kouhou0(末尾に”@nies.go.jp”をつけてください)

 つくばこどもの森保育園
 ビオトープ管理士 山崎順子(保育士)
 info(末尾に”@t-kodomori.jp”をつけてください)

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