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2017年3月31日

注意喚起の仕組みと判断方法について

コラム3

 コラム2にあるように、各地方公共団体は「PM2.5の1日平均値が暫定的指針値(70μg/m3)を超えると予想される場合に注意喚起を行うこと」とされました。暫定的指針値を超えるか否かの判断手法についても指針が示されており、その仕組みについて説明します。

 注意喚起の判断は、都道府県もしくはそれらを複数に分割した区域(分割するか否かは各自治体に任されています)において行われています。判断手法は2段階に分かれており、1つは午前中の早目の時間に判断するために午前5時から7時の平均値に着目する方法、もう1つは午後からの活動に備えて判断するために午前5時から12時までの平均値に着目する方法です。前者は区域内で2番目に高い測定局での値が85μg/m3を超えたときに、後者は区域内の最大値が80μg/m3を超えたときに、それぞれ注意喚起を出すとされています。

 例えば光化学オキシダントの注意報は、その濃度が120ppb(ppbは10億分の1)を超え、それがしばらく継続すると判断されるときに出すことにされています。そこで、観測値が120ppbを超えるかどうかを注視し、近隣の測定局での値と風向きなどに着目すれば、観測データだけで注意報の必要性を容易に判断することができます。

 一方、PM2.5の注意喚起の判断のむずかしさは、その基準が日平均値に基づいていることにあります。つまり、日平均値が70μg/m3を超えるかを判断することは、24時間分の積算値が1680(=70×24)μg/m3を超えるかどうかを判断することです。午前中にいくら低濃度が続いても、午後になって高濃度が続けば日平均値が暫定指針値を超える可能性はありますし、逆に午前中に高濃度が続いても、(その積算値が1680μg/m3を超えて注意喚起の必要性が確定する場合を除き)それ以降ほぼゼロの濃度が続く可能性は否定できません。そのため、数値予測の精度を数年以内に改良し、注意喚起の判断に用いたいと考えています。

図3(クリックで拡大画像を表示)
図3 2011 年度(左)と2014 年度(右)のPM2.5年平均値の全国分布
年平均値が西日本や関東で高いことがわかる。また、測定局数が増加しているのがわかる。

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