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2016年12月19日

「東アジア広域環境研究プログラム」
国立環境研究所研究プロジェクト報告の刊行について
(お知らせ)

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ同時配付)

平成28年12月19日(月)
国立研究開発法人国立環境研究所
 編集分科会委員長:三枝 信子
 編集分科会事務局
   (環境情報部情報企画室)
     室長:阿部 裕明
     担当:川尻 麻美

 国立環境研究所では、「国立環境研究所研究プロジェクト報告」として、「東アジア広域環境研究プログラム(重点研究プログラム)平成23~27年度」を刊行します。
 本報告書は、東アジアにおける大気・海洋汚染を対象とし、汚染の実態や発生メカニズムの解明を行い、環境負荷とその応答の関係を評価できるシステムを構築した研究の成果について取りまとめたものです。特に、マルチスケールでかつ多くの媒体を包括する大気・陸域・海洋モデルを連結して東アジアにおける環境を予測し、大気・陸域の汚染防止対策の環境保全に対する効果を定量的に評価した点が、新しい知見と考えられます。

1 「東アジア広域環境研究プログラム(重点研究プログラム)平成23~27年度」の概要

 東アジア地域では急速な経済発展に伴って様々な環境問題が深刻化し、それが広域越境汚染のような具体的な問題として我が国にも影響を及ぼしています。そのため、東アジアにおける持続可能社会及び広域越境汚染の解決に向けた2国間や多国間の枠組みを構築するための戦略を提示することが求められていますが、その基礎となる科学的知見及び人間活動による環境負荷と広域汚染の定量的関係を評価する科学的手法の開発・活用は不十分でした。

 そこで本研究では、東アジアにおける代表的な広域環境問題である大気・海洋汚染を対象とし、観測やシミュレーションを統合して汚染の実態や発生メカニズムの解明を行い、環境負荷とその応答の関係を定量的に評価できるシステムを構築しました。

 大気汚染を対象とした研究では、半球規模から北東アジア、都市域までのマルチスケールの観測を実施し、その結果に基づいて大気質モデルを改良し、近年の大気汚染トレンドの再現と大気汚染に対する国内外の寄与割合の解明、オゾンの植物への影響、粒子状物質の健康影響などを明らかにしました。海洋汚染に関しては、中国長江流域での観測に基づく汚濁負荷量の予測モデルの構築、東シナ海域での観測や室内実験に基づいた陸棚域での生態系の実態解明を行い、陸域の負荷がもたらす海洋環境の応答予測モデルを構築しました。更に、社会環境システム研究センターと連携して、近未来(2030年)における大気汚染物質と水質汚濁物質の排出動態に関する将来シナリオを構築し、本プログラムで開発したマルチスケールでかつ多くの媒体を包括する大気・陸域・海洋モデルを連結して、東アジアにおける環境を予測しました。特に大気・陸域の汚染防止対策を行うことによって実現される環境保全に対する効果を定量的に評価しました。

 本研究の成果は、東アジアの大気・陸域・海洋の環境を統合的に管理するための総合的な施策を検討するうえで役に立つものと期待しています。

●本報告書の研究プログラム総括
 大原 利眞(おおはら としまさ)〔平成23~25年度〕
  国立環境研究所 地域環境研究センター センター長
  (現職名:国立環境研究所 企画部 フェロー)
 高見 昭憲(たかみ あきのり)〔平成26~27年度〕
  国立環境研究所 地域環境研究センター 副センター長



2 本報告書の閲覧及び問い合わせ先

●「国立環境研究所研究プロジェクト報告」は、研究所ホームページで閲覧できます。
   http://www.nies.go.jp/kanko/tokubetu/index.html


●本報告書についてのお問い合わせ先:国立環境研究所 環境情報部情報企画室出版普及係
  (TEL: 029-850-2343  E-mail: pub@nies.go.jp)

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