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2016年11月21日

「小児・次世代環境保健研究プログラム」
国立環境研究所研究プロジェクト報告の刊行について
(お知らせ)

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ同時配付)

平成28年11月21日(月)
国立研究開発法人国立環境研究所
 編集分科会委員長:三枝 信子
 編集分科会事務局
   (環境情報部情報企画室)
     室長:阿部 裕明
     担当:川尻 麻美

 国立環境研究所では、「国立環境研究所研究プロジェクト報告」として、「小児・次世代環境保健研究プログラム(先導研究プログラム)平成23~27年度」を刊行します。
 本報告書は、環境要因と子どもの健康との関連性について、健康影響メカニズムを解明することにより疫学知見に生物学的妥当性を与え、また莫大な数の化学物質や健康影響の中から疫学研究で検討すべき対象物質及び影響指標を提案することを目的として実施した研究成果についてまとめたものです。特に、有害な環境因子から、子どもたちと将来の世代の健康を守る政策立案に貢献できるよう、当研究所が中心的機関として実施する大規模疫学研究「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」と連携して、より詳細な発達・免疫影響のメカニズム解明と高度な疫学手法の開発を行いました。

1 「小児・次世代環境保健研究プログラム(先導研究プログラム)平成23~27年度」の概要

 国立環境研究所は、環境省事業である「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」において、調査実施主体(コアセンター)として調査を実施しています。エコチル調査は、胎児期及び小児期の様々な環境要因への曝露が子どもの健康に及ぼす影響を調査する10万人規模の大規模出生コホート研究です。本プログラムは、エコチル調査から得られると考えられる環境要因と子どもの健康との関連性に関する多くの知見に加えて、健康影響メカニズムを解明することにより、疫学知見に生物学的妥当性を与え、また莫大な数に上る化学物質や健康影響の中から疫学研究で検討すべき対象物質や影響指標を提案するなど、これを相補・補完する研究をあわせて推進することを目的として実施しました。

 子どもたちが食事から化学物質を摂取する量を推定するための就学前の子どもの食事調査を行うとともに、生体試料を用いた化学物質摂取量の推定のための高感度、ハイスループット化学分析法の開発を行いました。さらに、多数の環境要因の複雑な影響を解析するための統計モデルの開発を行いました。

 一方で、疫学調査の結果をより確かにするために、化学物質の脳神経発達、免疫・アレルギー機能への影響のメカニズムを実験研究によって明らかにする研究を行いました。

 主要な成果としては、食事調査では、より精度の高い食事調査票開発に利用可能なデータを食事記録法により収集し、データベース化を行いました。化学分析法開発では、主にバイオマーカーを用いた分析工程の自動化、試料大量注入法などを開発し、高感度、ハイスループットかつ比較的安価な分析法を開発し、エコチル調査での応用を行いました。統計解析手法開発においては、主要環境要因と主要アウトカムの関連性を直接効果と他の要因を介した間接効果に分けて算出できる統計手法を実際のコホート研究に適用し、従来の方法では検出できなかった関連性を検出することに成功しました。

 メカニズム研究では、ビスフェノールAの免疫・アレルギー機能への影響には、免疫応答の攪乱を介した炎症性・抗炎症因子の発現変動が関与している可能性が確認されました。さらに、ビスフェノールA若齢期曝露による学習能力の低下および海馬における記憶関連遺伝子の発現の低下など、当該化学物質の脳神経系への影響を初めて明らかにしました。

●本報告書の研究プログラム総括
 新田 裕史(にった ひろし)〔平成23~26年度〕
  国立環境研究所 環境健康研究センター長
  (現職名:国立環境研究所 環境リスク・健康センター フェロー)

 野原 恵子(のはら けいこ)〔平成27年度〕
  国立環境研究所 環境健康研究センター長
  (現職名:国立環境研究所 環境リスク・健康センター フェロー)


2 本報告書の閲覧及び問い合わせ先

●「国立環境研究所研究プロジェクト報告」は、研究所ホームページで閲覧できます。
   http://www.nies.go.jp/kanko/tokubetu/index.html


●本報告書についてのお問い合わせ先:国立環境研究所 環境情報部情報企画室出版普及係
  (TEL: 029-850-2343  E-mail: pub@nies.go.jp)

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