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2018年4月12日

「ハウスダスト中の化学物質が誘導する発達神経毒性の包括的理解に向けた多面的評価法確立 平成26~28年度」
国立環境研究所研究プロジェクト報告の刊行について(お知らせ)

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)

平成30年4月12日(木)
国立研究開発法人国立環境研究所
 編集分科会委員長:三枝 信子
 編集分科会事務局
   (環境情報部情報企画室)
       室長:阿部 裕明
       担当:青池美江子

   国立研究開発法人国立環境研究所(以下、『国立環境研究所』という。)では、「国立環境研究所研究プロジェクト報告」として、「ハウスダスト中の化学物質が誘導する発達神経毒性の包括的理解に向けた多面的評価法確立 平成26~28年度」を刊行します。
   本報告書は、化学物質の発達期の脳への有害性を動物モデルで評価する手法を開発するプロジェクトの成果を取りまとめたものです。生活環境中に存在する化学物質の発達期曝露影響を多面的に評価することができる体制を構築し、未だ有害性が確定していない化学物質に対する影響評価を行うことで評価の有効性を検討しました。その結果、特定の農薬や難燃剤を評価する際に役立つ有用なエンドポイント(評価項目)やバイオマーカー(生体の生理的変化を定量的に把握する指標)を提示することができました。

1 「ハウスダスト中の化学物質が誘導する発達神経毒性の包括的理解に向けた多面的評価法確立 平成26~28年度」の概要

   文科省調査(2012年)で普通学級の小中学生のうち約6.5%が発達障害を呈することが報告される、子供の脳の発達に何らかの異変が生じている可能性に国民の関心が高まっています。発達障害増加傾向は日本のみならず世界中で確認されており、原因の一部として環境中の有害化学物質の関与が疑われています。そのため、国際的動向として発達期の化学物質曝露と脳の発達との関係を明らかにする研究が必要と考えられていますが、発達障害で見られるような行動の違いや脳の変化を動物モデルで検出するための評価手法は十分に確立されておらず、発症原因を特定する研究を推進する上での支障となっています。

   このような背景を踏まえ、本研究ではマウスやウズラ等の動物モデルを用いて、化学物質の曝露影響を多面的に評価することができる体制を構築し、未だ有害性が確定していない化学物質に対する影響評価を行うことで評価の有効性を検討しました。また、影響が検出された動物モデルを活用して有害メカニズムの解明を試みるとともに、診断・予防に有効なバイオマーカーの確立を試みる研究も推進しました。

   特定の農薬や難燃剤を評価したところ、影響評価に活用可能なエンドポイントやバイオマーカーを提示することができました。また、物質種や曝露時期に応じて異なった行動特性、生理要因、脳構造に影響が現れることが明らかになり、発達神経評価法を組み合わせて包括的に評価する必要性がより明確になりました。

   本研究で検討した物質の種類や条件は限られたものであり、今後より一層の網羅的な検討が求められます。様々な物質種に対応可能な発達神経毒性評価法の基盤作りを継続して行っていくことで、発達障害の原因となるような物質同定に貢献することが期待されます。

●本報告書の研究課題代表者
  前川 文彦(まえかわ ふみひこ)
    国立環境研究所 環境リスク・健康研究センター 生体影響評価研究室 主任研究員

2 本報告書の閲覧及び問い合わせ先

●本報告書は研究所ホームページで閲覧できます。
  http://www.nies.go.jp/kanko/tokubetu/setsumei/sr-130-2017b.html

  既刊の「国立環境研究所研究プロジェクト報告」も閲覧できます。
  http://www.nies.go.jp/kanko/tokubetu/index.html

● 本報告書についてのお問い合わせ先:国立環境研究所 環境情報部情報企画室出版普及係
  (TEL: 029-850-2343  E-mail: pub@nies.go.jp)

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