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2019年12月20日

「東南アジア熱帯林における高解像度3次元モニタリングによる生物多様性・機能的多様性の評価手法の開発 平成28~30年度」
国立環境研究所研究プロジェクト報告の刊行

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)

令和元年12月20日(金)
国立研究開発法人国立環境研究所
 編集分科会委員長:江守 正多
 編集分科会事務局
   (環境情報部情報企画室)
       室長:阿部 裕明
       担当:青池美江子
 

   国立研究開発法人国立環境研究所では、「国立環境研究所研究プロジェクト報告」として、「東南アジア熱帯林における高解像度3次元モニタリングによる生物多様性・機能的多様性の評価手法の開発 平成28~30年度」を刊行します。
   本報告書は、垂直方向にも水平方向にも環境・生物の分布が不均一である熱帯林で、林床と林冠をつないだ観測を実現する観測方法の開発について取りまとめたものです。近年、技術の発展が著しいドローンでの空撮や、環境中の水に含まれるDNAから種判別を行う環境DNA技術も取り入れています。本研究では、森林内の光環境に応じて植物の光合成活性などの機能が異なること、熱帯林の種多様性が林冠構造と関係があること、熱帯林内で採取した雨水等には主要な陸生哺乳類ばかりではなく樹上に分布する野生動物のDNAも含まれていることが明らかになりました。

1 「東南アジア熱帯林における高解像度3次元モニタリングによる生物多様性・機能的多様性の評価手法の開発 平成28~30年度」の概要

   東南アジア熱帯林における先行研究では、大面積プロットの設置による森林の多様性・動態観測、多点でのカメラトラップ法による種多様性評価、観測タワーを活用した樹冠部における生物多様性評価、大気・気象観測などが進められてきました。しかし、(1)林床と林冠をつないだ観測に対応できるタワーが1地点しかないため、環境不均一性の高い熱帯林で一般化ができない、(2)生物多様性モニタリングには大面積スケールが必要であるが、地上調査には限界があるため、十分なデータが得られていない、といった問題があり、これまでの手法から得られる情報だけでは、熱帯林生態系全体のプロセスを理解するには不十分でした。これら問題点を解決し、熱帯林生態系全体のプロセスを理解するためには、林床と林冠をつないだ観測を大面積で実施し、それらの情報を統合する必要があります。
   このような背景を踏まえ、本研究課題では、(1)大気圏と相互作用をもつ森林生態系機能プロセス、(2)森林・林冠構造の複雑性、(3)哺乳類の種多様性の3点について動態と変化を広域・長期的・高解像度でモニタリングする手法の開発を進めてきました。
   その結果、森林内の光環境に応じて植物の光合成活性や生物起源揮発性有機化合物の放出量が異なること、林冠構造の中でも林冠の高さが種多様性と関連があること、熱帯林内で採取した雨水等には主要な陸生哺乳類ばかりではなく樹上に分布する野生動物のDNAも含まれていること、などが明らかになりました。
   今後、本報告書の中の知見や技術を応用することにより、東南アジア熱帯林における大面積調査の効率化を実現できると考えられます。また、生態系プロセスのメカニズムを統合的に理解する研究に発展することが期待されます。

●本報告書の研究課題代表者
   大沼学 (おおぬま まなぶ)
   国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター
      生態リスク評価・対策研究室 主任研究員

2 本報告書の閲覧及び問い合わせ先

●本報告書は研究所ホームページで閲覧できます。
  http://www.nies.go.jp/kanko/tokubetu/setsumei/sr-135-2019b.html

  既刊の「国立環境研究所研究プロジェクト報告」も閲覧できます。
  http://www.nies.go.jp/kanko/tokubetu/index.html

● 本報告書についてのお問い合わせ先:国立環境研究所 環境情報部情報企画室出版普及係
  (TEL: 029-850-2343  E-mail: pub@nies.go.jp)

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