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公益社団法人土木学会 環境システム委員会 論文奨励賞

  • 受賞者:
    長谷川知子(社会環境システム研究センター)
  • 受賞対象:
    Economic implications of climate change impacts on human health through undernourishment,Climatic Change ,136, 189-202,2016
  • 受賞者からひとこと:
     本論文は、温暖化による低栄養や健康リスクを経済的に評価した初めての研究です。低栄養に起因する疾病や死亡により失われる生命の経済的評価を示すことで、これまでの温暖化による健康被害や低栄養リスクについての研究に新たな視点を加えるものです。本稿は、医療費の増加や労働力の減少など市場で取引される経済的損失よりも、市場には現れない失われる生命価値が相対的に大きいことを明らかにし、前者のみをとらえることが影響の過小評価をもたらすことを示唆しています。本成果は、近年温暖化対策の評価方法の一つとして気候変化による影響の経済的な評価が行われるなか、温暖化による飢餓リスクに対する影響の定量化と多面的な把握を促進し、市場では取引されないような影響の把握の重要性を示す第一歩となるものです。

公益社団法人土木学会 優秀講演者

  • 受賞者:
    小野寺 崇(地域環境研究センター)
  • 受賞対象:
    窒素安定同位体比を用いた活性汚泥における捕食の進行度の把握,土木学会第71回年次学術講演会
  • 受賞者からひとこと:
     生活排水や産業廃水の処理では、活性汚泥法などの微生物を活用したリアクターが広く用いられております。活性汚泥には、多種多様な微生物が生息しており、細菌等による排水中の有機物分解に加えて、原生動物や後生動物による細菌等の捕食効果により、処理水の清澄性向上や余剰汚泥の減容化が進みます。そのため、リアクターにおける処理メカニズムを紐解くためには、微生物の摂餌関係や食物網(食物連鎖)を把握する必要があると考えました。しかし、微生物群集における食物網は複雑であるため、ほとんど謎に包まれておりました。そこで本研究では、炭素・窒素安定同位体比の自然存在比に着目し、活性汚泥の捕食作用と安定同位体比の関係を調べたところ、微生物群集における捕食の進行に伴い汚泥の窒素安定同位体比が上昇するという新たな知見を得ました。本研究成果は、微生物群集の食物網による機能を評価するための重要なステップだと考えております。今回の受賞を励みに、微生物の機能を深く理解して、リアクターの開発に役立つ学術的知見を得られるよう、今後さらに研究に邁進していきたいと思います。

一般社団法人廃棄物資源循環学会関東支部 優秀ポスター賞

  • 受賞者:
    藤原 大(資源循環・廃棄物研究センター)
  • 受賞対象:
    除染廃棄物焼却時の放射性セシウムの挙動,廃棄物資源循環学会 平成28年度 関東支部講演会・研究発表会
  • 受賞者からひとこと:
     このたび、平成28年度廃棄物資源循環学会関東支部研究発表会において、「除染廃棄物焼却時の放射性セシウムの挙動」と題したポスター発表を行い、優秀ポスター賞を受賞いたしました。福島県内で発生した除染廃棄物を焼却した際の、焼却残渣(焼却灰など)の放射性セシウムの濃度、溶出特性、焼却炉内での放射性セシウムの挙動について調査した内容が評価されました。事故から6年近く経過しますが、福島県内では除染活動により発生した廃棄物が多く保管されており現在も処理が進んでいます。除染廃棄物の焼却により発生する焼却残渣の処理・処分方法は未だ計画中の段階であり、安全性を確保し合理的かつ適正に処理するためには科学的な知見を集積・発信することが大切と考えています。 今回の受賞を励みに、今後もさらなる研究を続け、福島の復興が進むよう精進していく所存です。

日本水処理生物学会賞

  • 受賞者:
    徐 開欽(資源循環・廃棄物研究センター)
  • 受賞対象:
    水処理生物分野での優れた研究業績及び学会発展のための貢献
  • 受賞者からひとこと:
     日本水処理生物学会賞は、水処理生物学およびその関連分野の学術・技術の進歩に顕著な貢献を果たした者に贈られるもので、今回で19回目を迎えました。今回の受賞理由として、”徐開欽氏は、日本水処理生物学会の会員として評議員、第47回大会(つくば)副会長等、長年にわたり学会発展のために多大な貢献をされてきました。また、研究面においても、水処理生物学分野の基盤・応用研究に関わる生物処理・生態工学処理や有機性廃棄物リサイクル処理、水環境保全の研究で優れた研究業績をあげられ、さらに国際的な研究展開や研究者間交流にも尽力されてきました。以上を踏まえて、徐開欽氏に本学会賞を授与することとしました。”と書かれています。日本国籍以外の学会員としては、初めての受賞となり、感無量です。歴代の受賞者が素晴らしい業績を残された先生ばかりなので、未熟な自分がこの名誉ある賞を授与され、身に余る光栄と感じており、本当に恐縮しております。振り返ってみれば、1983年(昭和58年)に中国の大学を卒業して、政府派遣で1984年に東北大学へ留学生として来日して以来、32年余りの年月を経て、学生生活(東北大学)、職場(新日本気象海洋(現在いであ株式会社)、東北大学、国立環境研究所等)の研究活動において、諸先生・先輩・上司・同僚等様々な方々のご指導・ご協力の賜物です。唯々皆さまに感謝の気持ちで一杯です。今回の受賞を励みに、微力ですが、今後も水処理生物分野において、研究活動、学会活動等で精進を重ねてまいりたいと思いますので、引き続き皆さまのご指導・ご鞭撻を賜りますようよろしくお願いいたします。

公益社団法人土木学会 環境工学委員会 環境技術・プロジェクト賞

  • 受賞者:
    小野寺 崇(地域環境研究センター)、珠坪一晃(地域環境研究センター)、水落元之(地域環境研究センター)
  • 受賞対象:
    バイオガスによる阻害物除去機能を有する新規メタン発酵リアクターの開発、第53回環境工学研究フォーラム、同予稿集、8,2016
  • 受賞者からひとこと:
     メタン発酵リアクターは、メタン菌などの嫌気性微生物を巧みに利用することで、廃水や廃棄物からバイオガスを回収できる創エネルギー型の環境技術です。メタン発酵リアクターの性能を安定化・効率化するためには、廃水・廃棄物に含まれる有機物を分解する嫌気性微生物の働き(活性)を高めることが求められます。微生物の働きを高めるためには、リアクター内の微生物にとって心地の良い環境に調整するとともに、微生物の働きを低下させる物質(阻害物)の除去・低減を図ることが必要です。この阻害物には、廃水・廃棄物に含まれる毒物や塩類だけでなく、廃水・廃棄物を嫌気性微生物が分解する過程に生じるアンモニア、硫化水素、水素なども含まれます。本研究では、嫌気性微生物の阻害物(アンモニア、硫化水素、水素など)を除去するために、嫌気性微生物が生成するバイオガスを利用するユニークなコンセプトで、新しいリアクターシステムを開発しました。今回の受賞を励みにして、本技術が社会に役立つ日が来ることを夢見て、今後も研究に精進して参りたいと思います。

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