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Hot Article Award Analytical Sciences

  • 受賞者:
    井上智美(生物・生態系環境研究センター)
  • 受賞対象:
    Real-time in-situ Simultaneous Monitoring of Dissolved Oxygen and Materials Movements at a Vicinity of Micrometers from an Aquatic Plant by Combining Deflection of a Probe Beam and Fluorescence Quenching (Analytical Sciences, 33, 351-355, 2017)
  • 受賞者からひとこと:
    本論文は福岡工業大学の呉行正教授と共同で進めている研究で、植物体表面の物質の出入りを計測する新規計測法として「ビーム偏向・蛍光・吸光度同時測定系」を開発し、水生植物体表面近傍の酸素の出入りをリアルタイムで計測したことを報告するものです。植物の葉や茎や根では、その生命活動に伴って様々な物質が出入りをしています。この様子を非破壊にリアルタイムで詳細に計測できたら、これまで知られていなかった様々なことが明らかになるかもしれません。本計測法で様々な物質の計測を簡便に行えるようにするには、まだ検証しなければならないことが残されています。今後も、この計測法の確立と発展につとめて行きたいと思います。

日本植物分類学会大会発表賞

  • 受賞者:
    松崎 令、河地正伸(生物・生態系環境研究センター)
  • 受賞対象:
    彩雪を構成する氷雪性緑藻類のシストの分子系統と1未記載種(日本植物分類学会第16回大会、日本植物分類学会第16回大会研究発表要旨集、22, 2017)
  • 受賞者からひとこと:
    山岳地域や極域の残雪が緑や赤などに色づく“彩雪”現象は、雪表面の太陽光反射率を下げて残雪の融解を促進することから、近年、地球環境への影響が注目されています。彩雪は主に、氷雪藻と呼ばれる寒冷適応した微細藻類が、残雪中で高密度に繁殖することで引き起こされます。しかしながら、いつ、どのようなきっかけで彩雪が生じるのか、詳細はほとんどわかっていません。私たちは、彩雪の発生メカニズムを解明する上で重要な基盤データとなる、氷雪藻の種レベルの分類学的研究を進めています。代表的な氷雪藻である単細胞遊泳性の緑藻クロロモナス属は、しばしばシスト(休眠細胞)の状態で彩雪中からみつかります。そのようなシストは発芽誘導も分子データの獲得も困難なため、種の実体はほとんど不明でしたが、私たちは最近、シストのDNAから複数領域の塩基配列データを決定可能な方法を開発しました。賞を頂いた発表は、日本の彩雪から得られた様々なシストの実体を、複数の遺伝子の配列データを用いた分子系統解析、および正確に種を識別した栄養細胞の培養株との比較分子解析から調査したものです。今回の受賞を励みに、氷雪藻の種の実体、およびその多様性の解明に向け、更に研究を進めていく所存です。

第5回日本生態学会奨励賞(鈴木賞)

  • 受賞者:
    安藤温子(生物・生態系環境研究センター)
  • 受賞対象:
    海洋島に生息する絶滅危惧鳥類の遺伝構造と採食生態に着目した保全生態学的研究
  • 受賞者からひとこと:
    日本を代表する海洋島である小笠原諸島に生息する絶滅危惧鳥類を対象とした保全生態学的研究に関して、日本生態学会より、今後の発展が期待される若手を対象とした奨励賞(鈴木賞)をいただきました。人為撹乱に脆弱な海洋島には多くの絶滅危惧種が生息していますが、それらの保全に必要な生態情報や遺伝情報を得ることは容易ではありません。私は、上陸困難な海洋島に生息する絶滅危惧鳥類を対象に、最新の分子生物学的手法と野外調査を統合し、対象種の遺伝構造と採食生態を総合的に明らかにした点を評価していただきました。また、現地での保全活動に参加したり、研究成果を積極的に発信した点も評価していただきました。研究にご協力いただきました全ての方々に感謝申し上げます。また、今後の研究発展と、生物多様性保全への貢献を実現できるよう、努力していく所存です。

Ecological Research Paper Award 2016(日本生態学会)

  • 受賞者:
    中川 惠、高村典子(生物・生態系環境研究センター)
  • 受賞対象:
    Photosynthesis and primary production in Lake Kasumigaura (Japan) monitored monthly since 1981 (Ecological Research, 31(3), 287, 2016)
  • 受賞者からひとこと:
    霞ヶ浦長期モニタリングの一環として、1981年8月から毎月、西浦4地点で採水した湖水の光-光合成曲線を炭素安定同位体をトレーサーとして測定し、一次生産量を推定した。同時に、35年にわたる毎月の植物プランクトン量、光-光合成曲線のパラメタ、溶存無機炭素濃度、測定日の日射量等を記録したもので霞ヶ浦の長期生態系変化を評価する重要なデータである。

第13回日本藻類学会研究奨励賞

  • 受賞者:
    山口晴代(生物・生態系環境研究センター)
  • 受賞対象:
    海産微細藻類の系統分類学的研究
  • 受賞者からひとこと:
    藻類は酸素発生型光合成をする生物の総称で、湖沼や海、温泉や雪氷、乾燥地域などあらゆる場所に生息しています。藻類の中には赤潮やアオコを形成したり、毒を作るものがおり、世界中で環境問題の原因になっていますが、その一方で、産業利用されるような有用な藻類もたくさん存在しています。このように、藻類は、地球環境や人間との関わりを考える上で非常に重要な生物群だと言えます。今回の受賞では、これまで私がおこなってきた海産微細藻類の系統分類学的研究を評価していただきました。今後は、藻類が引き起こす環境問題に関する研究に注力するとともに、藻類カルチャーコレクション(NIESコレクション)における藻類の系統保存・提供を通して、藻類学の発展に微力ながらも貢献していきたいと考えています。

林業経済学会奨励賞

  • 受賞者:
    久保雄広(生物・生態系環境研究センター)
  • 受賞対象:
    野生動物管理に関する社会経済的研究
  • 受賞者からひとこと:
    生物多様性の保全が重要性を増す一方、野生動物が引き起こす農林業被害や人身被害といった軋轢が世界各地で問題となっています。我が国では2015年に改正鳥獣保護法が施行され、従来の野生動物「保護」から野生動物「管理」へと施策の転換が図られました。野生動物との軋轢を緩和し、人間と野生動物の両者が共生できる社会を形成するためには、これまでの生態学・生物学を中心とした研究だけではなく、保全や管理の現場となる地域社会を対象とした人文・社会科学の拡充が早急に求められています。上記の背景のもとに、私は長期に渡るフィールドワークを行い、地域社会における野生動物管理の問題点を把握し、その上で環境経済学をはじめとした複数の社会科学的アプローチを用いて、人々の認識や管理への要望を定量的に明らかにしてきました。今回の受賞はその成果『野生動物管理に関する社会経済的研究』を評価して頂いたものです。今回の受賞を励みに、今後も実際の野生動物や自然公園の管理に貢献することに重きを置いて、研究に邁進していきたいと考えております。

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